Rhinacanthin Cは白鶴霊芝に多く含まれるナフトキノン誘導体である。我々はRhinacanthin Cが破骨細胞の分化を抑制することを見出した。本研究はその分子機構について明らかにすることを目的とする。Rhinacanthin Cは骨髄由来破骨前駆細胞においてRANKLによるTRAF6-TAK1コンプレックス形成を抑え、破骨細胞のマスター転写因子(NFATc1)の発現を抑制した。さらにRhinacanthin Cはマウス頭蓋骨のRANKLまたはLPS投与による骨吸収を抑制し、Rhinacanthin Cの破骨細胞分化抑制効果はin vivoにおいても確認できた。本年度はさらにその作用機序について検討した。Rhinacanthin CはM-CSFによる骨髄細胞からマクロファージや破骨前駆細胞への形成過程に影響を与えず、 RANKLによる破骨細胞分化の初期の段階を抑えた。この抑制効果は可逆的で、Rhinacanthin Cを培地から取り除くと、分化は回復した。RANKLの細胞内シグナル伝達メディエーターの1つであるROSの産生について検討した。Rhinacanthin CはRANKLによるROSの増加を抑えず、Rhinacanthin Cの抑制効果はROSの低下によるものではないことが示唆された。
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