研究課題/領域番号 |
25462899
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
天野 均 大阪歯科大学, 歯学部, 准教授 (90212571)
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研究分担者 |
中野 泰子 横浜薬科大学, 薬学部, 教授 (20155790)
岩井 信市 昭和大学, 薬学部, 教授 (70317519)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 破骨細胞 / 活性脂質 / 活性酸素 / NO / ニコランジル |
研究実績の概要 |
平成28年度は、この3年間の活性脂質研究をさらに発展させ、活性脂質による破骨細胞分化促進作用を抑制する低分子化合物を探索した。研究成果の集大成として論文作成に重点をおいた。今まで研究してきた活性脂質、特に細胞膜のリン脂質を酸化する活性酸素に着目することにした。広義の活性酸素に属するNOは、スーパーオキシドを消去することで抗炎症作用を示す。つまり、炎症のケミカルメディエーターである活性化脂質を惹起する作用をNOは抑制する可能性に気がついた。そこで我々は、狭心症作用薬であるニコランジルに着目した。本研究では、グリース法により培地中のNO濃度測定を行ったところ、破骨細胞誘導系にニコランジルを添加すると培地中のNO産生量が上昇し、ニコランジルを添加しないコントロール群では、内因性によると思われる少量のNO産生を認めるのみだった。内因性のNO産生が破骨細胞の分化に影響を及ぼすかをグアニル酸シクラーゼ作用阻害剤のODQを添加して確認したが、破骨細胞誘導系では、内因性NO産生による破骨細胞分化への影響は確認されなかった。ニコランジルの濃度依存的にTRAP陽性多核細胞、Fアクチンリングを有する細胞の大きさ、数ともに減少した。また骨吸収面積も濃度依存的に減少した。以上のことから、狭心症治療薬であるニコランジルは、NO産生を介して活性酸素を消去することで、活性脂質の産生・シグナル伝達を抑制する可能性が示された。また、破骨細胞分化過程を抑制する作用機序を持つ骨粗鬆症治療薬に応用できる可能性が示唆された。
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