研究課題/領域番号 |
25462903
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
佐藤 義英 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (20287775)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 口腔・顔面・舌感覚 / 咀嚼 / 中枢神経機構 |
研究概要 |
口腔感覚と咀嚼を制御する中枢神経機構を解明するため、ラットをウレタンで麻酔し、下歯槽神経の電気刺激により開口反射を誘発させた。下歯槽神経の電気刺激強度は、開口反射を誘発させる閾値の1.2倍または4倍に設定した。開口反射を誘発させながら、口腔感覚と咀嚼の制御に関係していると考えられる赤核の電気刺激を行った。また、赤核と神経線維連絡がある外側網様核の電気的破壊とそこへのムシモル注入を行い、開口反射にどのような変調が見られるか検索し以下のことが明らかとなった。1、1.2倍の刺激強度により誘発された開口反射は、赤核電気刺激により促通された。2、4倍の刺激強度により誘発された開口反射は赤核電気刺激により減弱した。3、赤核刺激により促通された開口反射は、外側網様核の電気的破壊やムシモル注入により影響を受けなかった。4.赤核刺激により減弱された開口反射は、外側網様核の電気的破壊やムシモル注入により減弱効果が小さくなった。これらのことから、外側網様核は赤核刺激による開口反射の減弱に関与していることが示唆された。 次に開口反射を誘発させる閾値の4倍の刺激強度で下歯槽神経を刺激し、開口反射を誘発させながら、赤核へ投射している大縫線核の電気刺激を行った。また赤核の電気的破壊と赤核へのムシモル注入を行い、開口反射にどのような変調が見られるか検索し、以下のことが明らかとなった。1、下歯槽神経の4倍の刺激強度により誘発された開口反射は大縫線核電気刺激により減弱した。2、大縫線核刺激により減弱された開口反射は、赤核の電気的破壊により減弱効果が小さくなった。3、大縫線核刺激により減弱された開口反射は、赤核へのムシモル注入により減弱効果が小さくなった。これらのことから、赤核は大縫線核刺激による開口反射の減弱に関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に計画した2つの実験のうち1つが完了したため。
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今後の研究の推進方策 |
ウレタン・クロラロースでラットを麻酔し、臭化パンクロニウムの静脈内投与と人工呼吸によりラットを非動化する。口腔粘膜、顔面皮膚、舌や歯に触圧覚・温覚・冷覚・痛覚刺激を与え、三叉神経感覚核群ニューロンからの細胞外記録を行う。次に赤核の電気刺激およびグルタミン酸注入による化学刺激を行い、このときの三叉神経感覚核群ニューロン活動を記録する。赤核刺激前の三叉神経感覚核群ニューロンを分類し、赤核刺激前後の三叉神経感覚核群ニューロン活動を検索する。 次に、三叉神経感覚核群の電気刺激およびグルタミン酸注入による化学刺激を行う。このときの赤核群ニューロン活動を記録する。これらの実験から、口腔・顔面・舌感覚の赤核の制御機構を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
薬物注入用電極を繰り返し使用できたため、予定した使用数より、少なかったため。またラットの購入数も予定してい数より、少なく実験が完了したため。 次年度使用額は、主に薬品類などの消耗品に使用する。
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