研究課題
Wnt5a-Ror2シグナルによる破骨細胞極性化制御機構について、平成25年度には、Wnt5a-Ror2シグナルがアダプター分子であるDaam2を介してRhoを活性化していることおよびRhoの下流で働く分子protein kinase N3 (Pkn3)を見出した。平成26年度はPkn3の破骨細胞の骨吸収ににおける役割を明らかにするため、Pkn3遺伝子欠損(KO)マウスを解析し、骨吸収の低下により骨量が増加することを明らかにした。また、Venusタグ付きPkn3およびDsRedタグ付きβ-アクチンを発現するアデノウイルスを作成し、破骨細胞にそれらのウイルスを用いて遺伝子発現させることで、Pkn3がβ-アクチンと共局在することを明らかにした。これらの実績を踏まえて、平成27年度には、Pkn3がどのようにアクチンリング形成を制御するか明らかにするため、以下の実験を行った。Ror2を欠損した破骨細胞およびコントロールの破骨細胞にVenusタグ付きPkn3を発現させ、それぞれから細胞抽出液を調製した。抗Venus抗体を用いた免疫沈降法により、Pkn3と結合するタンパク質を調べた。コントロールの破骨細胞では、c-SrcおよびPyk2という、これまでに骨吸収に関連することが報告されているタンパク質が結合していた。しかし、Ror2を欠損した破骨細胞ではそれらの結合が認められなかった。これらのことから、Wnt5a-Ror2シグナルは、Pkn3とc-SrcおよびPyk2との結合を促進することで破骨細胞の骨吸収活性を調節する可能性が考えられる。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
J Biochem
巻: 159 ページ: 387-392
doi: 10.1093/jb/mvv124.
Biochem Biopys Res Commun
巻: 463 ページ: 1278-1283
10.1016/j.bbrc.2015.06.102.