研究課題/領域番号 |
25462908
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
田代 晃正 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 助教 (60598118)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 三叉神経 / エストロゲン / 顎関節痛 / GABA |
研究概要 |
今年度は顎関節から直接入力を受ける三叉神経脊髄路核尾側亜核の侵害受容ニューロン(TMJニューロン)に対するGABA機能がエストロゲン(E2)によりどのような影響を受けているのかを 明らかにするために in vivo の電気生理学的手法を用い検討した。動物は卵巣摘出(OvX)された後エストロゲン処置(高濃度E2 群;HE群 40mg x 2days, 低濃度E2 群;LE群 4mg x 2days)されたものを使用した。三叉神経脊髄路核尾側亜核と頸髄の移行部(Vc/C1-2)よりTMJニューロンを単離し、単一神経細胞の活動を記録。左側顎関節部への化学刺激(1mM ATP 20μl)により誘発される神経興奮(ATP-evoked response)が、GABAA受容体の拮抗薬 (BMI 5-50µM)/作動薬(muscimol 5-50µM)のVc/C1-2への投与によりどのように変化するかをHE群、LE群で比較検討した。その結果、LE群において、BMI 投与によりATP-evoked responseのmagnitude やdurationは有意に増加したが、HE群においては変化が観られなかった。一方で、自発発火はエストロゲン処置に関係なく、両群で増加が観られた。作動薬の影響は両群においてATP-evoked responseのmagnitude やduration、自発発火は有意に減少したが、HE群においては5µMのmuscimolでも効果が観られた。さらに、Vc/C1-2でのGABAA受容体(β3 isoform)のタンパクレベルをウエスタンブロッド法により測定したところ、HE群、LE群での違いは認められなかった。以上の結果より、エストロゲンが三叉神経領域における侵害受容機構のGABA機能に影響を与えていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画であった「エストロゲンによるGABA機能の変調」に関する研究は予定通りに進めることができ、Neuroscience紙にその成果を発表することができた。それと同時に次年度に計画していた「エストロゲンによる代謝型グルタミン酸受容体への影響」に関する研究の予備実験等を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
順調に進展しているため、当初の目的・計画の通りに研究を遂行し、成果を発表していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
免疫染色等の実験系の立ち上げの一部をを次年度以降にまわしたため。 免疫染色等の実験系の立ち上げを完成させる。
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