研究課題/領域番号 |
25462909
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小野 貢伸 北海道大学, 大学病院, 講師 (50281829)
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研究分担者 |
大賀 則孝 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40548202)
北村 哲也 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00451451)
進藤 正信 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20162802) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 腫瘍血管内皮細胞 / Biglycan / プロテオグリカン / 腫瘍マーカー |
研究実績の概要 |
1.腫瘍血管内皮におけるプロテオグリカンの機能解析 Biglycan の機能を解析するため、ノックダウン実験を行い、腫瘍血管におけるプロテオグリカン阻害がもたらす影響の解析を行った。Biglycan knock downは細胞遊走を阻害し、腫瘍血管内皮細胞に形態的変化を起こすことが明らかになった。 2.マウス腫瘍モデルを用いた新しい腫瘍血管新生阻害療法の試み Biglycan siRNAをナノ粒子(MEND)(北大・薬学・原島教授との共同研究)によるドラッグデリバリーシステムを用いて腫瘍血管内皮におけるBiglycan の発現の抑制を試みた.MENDに腫瘍血管表面抗原であるintegrinに結合するペプチドRGDを修飾することで有意に腫瘍血管への送達効率の改善がはかれた.Biglycan のノックダウンはin vitroの腫瘍血管内皮細胞荷おいては50%程度得られたことから,in vivo でのノックダウンにつながるものとおもわれる. 3.血清中における腫瘍血管内皮細胞特異プロテオグリカンの検出 Biglycanが癌患者の血清出検出されるかどうかを分析した。Western blottingでは、がん患者の血清ではBiglycanの発現が検出できたのに対し、健常ボランティアの血清からは、発現はほとんど確認できなかった。定量分析においても、血清中のBiglycanレベルは健常ボランティアに比べ、がん患者で明らかに高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腫瘍血管内皮細胞特異プロテオグリカンであるBiglycanが、がん患者の血清中で検出され、健常ボランティアの血清からは、ほとんど検出されないことまでは明らかになった。このことから、血清Biglycanががん患者の再発マーカーや予後予測因子として利用できる可能性が高くなった。
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今後の研究の推進方策 |
1.血清中における腫瘍血管内皮細胞特異プロテオグリカンの検出 プロテオグリカンを濃縮するカラムを用いて,Tumor EC の培養上清におけるBiglycan が検出できることを確認し,その後,腫瘍モデルの進展の経過や治療経過と血清中の発現がいかに推移していくかについて解析する。さらにがん患者の血清をサンプルとして用いてBiglycanの発現と患者の予後や再発の有無との関連について検討する。 2.腫瘍微小環境が血管内皮細胞に及ぼす影響に関する検討 Tumor EC においてこれらのプロテオグリカンの発現が亢進するメカニズムの1つとして、腫瘍細胞と内皮細胞との相互作用による可能性を考え、その機序に迫る。具体的にはがん細胞の培養上清による処理、またはがん細胞との共培養によって、Normal EC にこれらの分子の発現亢進がおきるのかをreal time PCR で検討する予定である。 3.マウス腫瘍モデルを用いた腫瘍血管新生阻害療法の試み Biglycan siRNA―MENDによるin vivo 腫瘍血管におけるbiglycanのノックダウン,ならびにそれにともなう,血管新生阻害効果と抗腫瘍効果の有無について検証する.
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度からの繰越金が207,368円あったことと、試薬(抗体)の購入が予定よりも少なかったため、次年度繰越金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
物品の購入および旅費は予定通りの使用を考えているが、謝金およびその他(学会参加費)が当初の予定よりも高くなりそうなので、繰越金を充当する予定である。
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