研究課題/領域番号 |
25462914
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
室井 梓(酒井梓) 東北大学, 大学病院, 医員 (90463778)
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研究分担者 |
笹野 高嗣 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (10125560)
菅原 俊二 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (10241639)
伊藤 あゆみ 東北大学, 大学病院, 医員 (50622990)
西岡 貴志 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50641875)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | シェーグレン症候群 / インフラマソーム |
研究実績の概要 |
シェーグレン症候群の病態の一つである唾液腺炎の発症機序はいまだ不明であり、疾患の治療ならびに予防方法は確立されていない。本研究は、シェーグレン症候群の唾液腺組織において発現すると予測されるアポトーシスのパスウェイに炎症性サイトカインIL-18が関与するという仮説のもと、分子生物学的な解明を試みるものである。 これまでに我々は、ヒトの唾液腺細胞中のIL-18がTh17細胞から分泌されるIL-17との相互作用によってIL-6やIL-8といったサイトカインの発現を誘導することで、IL-18が唾液腺組織の破壊に関与する可能性を示唆して。しかしながら、細胞中のIL-18が前駆体から活性型になる機序を解明できずにいた。ここでIL-18やIL-1ベータの分泌を誘導することによって細胞のアポトーシスを惹起するたんぱく質複合体に着目した。 前年度の平成25年度には、唾液腺細胞株HSGの細胞質内にIL-18が存在し、活性をもたない前駆体であることをWestern blottingによって確認した。 続いて今年度は、作成した細胞溶解物におけるたんぱく複合体の構成因子であるNALP3, caspase-1, ASCの有無をWestern blotting によって検討し、caspase-1が活性を持たない形で存在することを確認した。細胞中で活性を持たなければIL-18に作用し細胞外への分泌を誘導することはできない。次年度は、caspase-1の活性発現に関しての検討を継続して行っていく予定である。 また、シェーグレン症候群患者13名から下唇小唾液腺の採取を行い、ヒト唾液腺細胞の培養や組織染色による解析に備えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Western blottingを用いてのたんぱく複合体の構成因子の検出において、適切な試薬の選択や検出条件の設定のために実験を繰り返し試行しているが、細胞溶解物による非特異的反応のコントロールに苦慮し、研究目的の達成に遅れを生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は作成した細胞溶解物におけるたんぱく複合体の構成因子のの有無をWestern blotting によって検討し、caspase-1が活性を持たない形で存在することを確認した。細胞中で活性を持たなければIL-18に作用し細胞外への分泌を誘導することはできない。今後は、caspase-1の活性発現に関しての検討を継続して行っていく。また、Western blottingによる検討に加え、RT-PCRによる遺伝子レベルの発現の検討、さらに、たんぱく複合体の構成因子のうち、各シグナルへの応答性を規定する複数のたんぱく質すべてについて、同様の検討をおこない、炎症応答のシグナルまで確認していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
複数の学術集会における研究成果の発表を計画したうえで予算計上をおこなっていたが、研究の進行状況が遅れていることにより学術集会への参加がなかった。 また、共同実験室を使用しているため物品や試薬の新規購入をせずに実験が可能となることがたびたびあり、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
分子生物学的検討の進行の遅れを取り戻すとともに、シェーグレン症候群患者ならびに健常コントロールからの唾液腺組織の採取をすすめ、外注業者の積極的な利用によって効率的に免疫組織学的検討をすすめていく。
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