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2014 年度 実施状況報告書

頭頸部癌転移をリンパ系の発生・再生の視点から解析する

研究課題

研究課題/領域番号 25462915
研究機関東都医療大学

研究代表者

勝部 憲一  東都医療大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20233760)

研究分担者 栢森 高  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10569841)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード血管新生 / 癌 / 骨髄幹細胞 / notch
研究実績の概要

前年度の研究からヒト口腔扁平上皮癌細胞株7株でマウス間質幹細胞株のひとつST-2に対してNotch3誘導能が高いのは、HO1N1、HSC-4であることが判明した。これらの細胞でヒトの間葉細胞に対して同様な効果があるかどうかヒト骨髄由来間質幹細胞(hMSC)を用いて解析をおこなったところ、同様なNotch3誘導能があった。この誘導に関してwntシグナルの関与を考えさせる予備結果が出たが、詳細な解析ではそれが否定され他の経路を考えることにした。
口腔癌手術症例の解析からNotch3誘導能が周辺に対して高い扁平上皮癌ほど脈管侵襲が高いことを考えて、このNotch3誘導の際の脈管形成因子の発現を調べた。その結果HO1N1に関してはhMSCに対してのVEGF発現をみると、VEGFCが有意に低下した。一方VEGFR3発現は有意に増加した。それに対してHO1N1は共培養の有無にかかわらずVEGF3発現はほぼ一定だった。さらにhMSCに替えてヒト皮下線維芽細胞(NHDF)を用いて同様な解析をおこなったところ、NHDF でのVEGFCの発現は有意に低下したもののVEGFR3の発現上昇は見られなかった。しかしそれと別にVEGFAの発現低下とVEGFR1の発現上昇がNHDF で見られた。
VEGFとその受容体の組み合わせで、VEGFCとVEGFR3の組み合わせはリンパ管新生に、VEGFAとVEGFR1は血管新生に対して特に効果があることが知られている。CAF(cancer associated fibroblasts)を構成する2つの間質細胞因子は脈管新生について違う役割があるのかもしれない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

癌細胞株と間質細胞の共培養で見られる間質細胞のVEGF発現低下と対応した受容体発現上昇の逆相関は一見矛盾した動態に見える。しかし間質細胞でのVEGF発現抑制により、相対的に癌細胞に向かってのVEGF分布の濃度勾配が形成される可能性がある。つまり脈管新生が癌胞巣に向けて極性を起こす可能性があることになる。Notch3発現誘導とVEGFシグナルの関係ははっきりしないことが多い。最近の論文では核内転写因子のひとつHifがNotch3を含むNotch群、およびVEGF群を制御していると報告されている。Hifは低酸素環境で増大する因子で血管新生と関係が深く、低酸素条件下での腫瘍浸潤との関係が議論されている。もしこれらが統合された機序で発現が制御されていれば、腫瘍浸潤で興味深い知見になる可能性がある。

今後の研究の推進方策

引き続き口腔扁平癌細胞と間葉細胞の共培養から、Notch発現を誘導する因子の解明を図る。Hifなど血管新生とも関係する核内転写因子の発現を網羅的発現解析で調べ、どの因子が候補となるか同定を試みる。また共培養の中でNotch, VEGFシグナル因子群を含めた各遺伝子がどのような発現パターンになるのか解析をおこなう。また引き続きヒト症例での組織学的な検討をおこない、培養細胞のモデルとの相関性があるかどうか解析をおこなう。

次年度使用額が生じた理由

wntシグナルの解析が予備実験で予想していたような結果にならなかったため、進行計画から除外したため。

次年度使用額の使用計画

VEGFおよびその受容体、Hifシグナルに焦点を変えて、実験を計画している

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] ビッグデータと看護・医療の将来2014

    • 著者名/発表者名
      勝部憲一
    • 雑誌名

      東都医療大学紀要

      巻: 5巻 ページ: 1-5

    • DOI

      21861919

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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