研究課題
ヒト症例を解析すると増殖・転移能が高い悪性度の高い症例ほど周囲のCAFにNotch3発現が高い傾向が有意に存在した。これまでの結果を考察すると、ヒト口腔扁平上皮癌は周囲の間質に影響して、CAFの誘導をおこなうことが想定できる。HO1-N-1とNHDF, さらにヒト内皮細胞HUVECの3重共培養をおこなうと、HUVEC由来の脈管形成が有意に促進された。この結果はNotch3 siRNAを用いる実験で有意に抑制され、Notch3に依存するシグナルで誘導される結果と考えられた。この結果を考察するとヒト口腔扁平上皮癌は、周囲間質にCAFを誘導してその増殖に有利な環境を作り出すだけでなく、脈管新生を促して増殖または転移に有利な環境を形成しているという仮説を立てられる。現在症例を解析して、vivoでも同じ仮説で増殖能や転移能を説明できるか検証中である。この仮説が事実とすると、脈管新生で内皮細胞と周皮細胞の挙動にNotch3のシグナルが重要な影響を与えていることが考えられる。HO1-N-1は自身がNotchリガンドのひとつとして知られるJAG1(Jaggedファミリーのひとつ)を強く発現しているが、JaggedはNotch受容体修飾因子のFringeの存在有無によって受容体活性化が異なることが知られている。現在Fringeファミリーが扁平上皮癌増殖・転移の実験系あるいは症例において、どのような発現変化をおこなうかを解析中である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件)
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