研究課題/領域番号 |
25462917
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村上 秀明 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (00263301)
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研究分担者 |
柿本 直也 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (50324794)
内山 百夏 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80322171)
辻本 友美 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00632150)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 放射線治療 / 舌癌 / スペーサ |
研究実績の概要 |
舌癌に対するマイクロセレクトロン法を用いた小線源組織内照射を行う際に、原発巣である舌には根治線量である60Gyを照射する必要があるが、舌に隣接する臓器、特に下顎骨および下顎歯肉にはなるべく照射したくない。そこで以前は舌と歯肉の間に鉛のブロックを挿入していたが、近年の三次元治療計画ではCTを用いるため、鉛は金属アーチファクトを引き起こし、計画すらできない状態であった。 そこで、本研究では、CT撮影に障害とならないレジンを用いたブロックを作成し、CTベースの三次元治療計画後に、ブロックにグルーブを掘り込み、そこへ鉛を流し込む新しい方法を考案した。 まず、パソコン上でブロックの厚さと流し込む鉛の厚さによる線量をシミュレートし、次に、実際にTLD素子を用いて吸収線量を測定した。 その結果、ブロックを10 mm厚さとした時の下顎骨5 mm深さでの吸収線量は30.7 Gyとなり、流し込む鉛を2 mm厚さとすると19.4 Gy(32.3%に減弱)、5 mm厚さとすると9.7Gy(16.2%に減弱)となった。さらにブロックを20 mm厚さとした時の下顎骨5 mm深さでの吸収線量は14.7 Gyとなり、流し込む鉛を2 mm厚さとすると11.6 Gy(15.3%に減弱)、5 mm厚さとすると4.6 Gy(7.7%に減弱)となった。 下顎歯肉や下顎骨に急性障害や慢性障害が発生する線量は10-15 Gyとされているので、ブロックを10 mm厚さとして鉛を5 mm厚さにすれば、放射線障害を起こすことは皆無となると結論づけた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
舌癌に対する小線源放射線治療時の下顎骨線量低減装置の材質の組合せは、レジンと鉛が最適と考えられ、それぞれの厚みは10 mmと5 mmであれば放射線障害を引き起こすことのない線量にまで減弱できることが明らかとあったから。
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今後の研究の推進方策 |
唾液への溶解、口腔内での装着感、外れにくさ、など実用の面へ研究を発展させたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に購入したソフトウェアを既存のワークステーションにまずインストールして使用した。これは、使用可能性を検証するためでもあった。使用はもちろん可能であったが、ワークステーションの処理能力が低いため、演算に時間がかかったり、フリーズすることがしばしばであった。次年度には、予定のワークステーションを購入し、演算処理時間を短縮したい。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の理由のため、予定のワークステーションを購入し、演算処理時間を短縮する。 英語論文を執筆し、英文校正を外注する。
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