研究課題/領域番号 |
25462922
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
片山 郁夫 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (80295089)
|
研究分担者 |
佛坂 由可 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (10244089)
佐々木 美穂 長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (10437874)
田代 茂樹 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (20300882)
中村 卓 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (30172406)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | FEN1 / p53 / 細胞老化 / 細胞死 |
研究実績の概要 |
われわれはこれまでの研究において、FEN1遺伝子の抑制によって細胞老化が促進することを見出していたが、一部の細胞株ではFEN1抑制による細胞老化がみられないものがあった。細胞老化を起こす細胞との違いはその細胞には正常なp53癌抑制遺伝子が存在していることであった。このp53が正常な細胞は、FEN1抑制によってp53が活性化されそのシグナルによって細胞死に至るのではないかと推測した。本研究で、p53が変異しているT24細胞においては、(1)FEN1の抑制によって細胞老化が促進すること、(2)正常なp53を発現させた後FEN1の抑制を行うと細胞死を起こすことを見出した。さらには、p53が正常なHCT116細胞では(1)FEN1の抑制によってp53の発現が増加し細胞老化ではなく細胞死を起こすこと、(2)FEN1とp53を同時に抑制することによってこの細胞死が抑制されることを見出した。 これらの結果から、FEN1とp53がともに機能している細胞、FEN1とp53がいずれかのみ機能している細胞、またFEN1もp53もともに機能していない細胞とでは、DNA障害からの修復過程に違いがあるのではないかということが示唆された。すなわち、p53とFEN1の発現のバランスが細胞の運命を決めている可能性がある。多くのガン細胞ではp53が変異しているかあるいは欠失しているので、最終的にはFEN1が存在していてもp53が発現していない細胞はがん化へ進むが、p53の発現がなくともFEN1も抑制するとガン化へは進まず細胞は老化するのではないかということが示唆された。
|