研究実績の概要 |
T9SSはP. gingivalisで発見された分泌機構であるが、Bacteroidetes門の細菌の多くが有する分泌機構であることがわかってきている。T9SSを構成するタンパク質の発現調節に関わるPorY, PorXおよびSigPタンパク質について遺伝生化学的解析を行った。 表面プラズモン共鳴法によりPorXとPorYとの結合の有無を調べた結果、乖離定数(KD)が1.409 X 10-6 Mの結合を示した。[ガンマ-32P]ATPを用いてPorYの自己リン酸化とPorXへのリン酸基転移がおこるかどうかを調べた。その結果、1分以内にPorYのリン酸化が生じること、さらにPorXの共存下では時間依存性にPorXへのリン酸基転移が生じることがわかった。 本菌のECFシグマ因子の1つであるSigPの欠損変異株はPorX変異株およびPorY変異株と同様にT9SSによるタンパク質分泌が低下していた。そこでマイクロアレイ解析でどのような遺伝子がSigPによって制御されているかを調べたところ、PorX制御下の遺伝子の多くがSigPによって制御されていること、さらにそのなかにPorTなどのT9SS構成遺伝子が多数含まれていることがわかった。さらにSigPはそれらのT9SS構成遺伝子のプロモータ領域に結合することがゲルシフトアッセイでわかった。 イムノブロット解析の結果、porX欠失変異株ではSigPタンパク質が完全に消失していることがわかった。 in vivoでの免疫沈降法およびin vitroでの表面プラズモン共鳴法を用いた解析からPorXはSigPと直接、結合することがわかった。
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