研究課題/領域番号 |
25462931
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
西野 智美 昭和大学, 歯学部, 助教 (20245872)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 嚥下動態検査 / 超音波診断 / 3D/4D画像解析法 |
研究実績の概要 |
嚥下動態の画像評価方法としては、嚥下造影検査(VF)が主に利用されている。その他の検査法としては、嚥下内視鏡検査(VE)や超音波検査(US)が挙げられる。VF検査は、一連の嚥下動態を明瞭に画像化できるがX線被曝を伴い、3次元の動態を2次元的画像で診断せざるを得ない。また、VE検査は鼻腔から挿入した内視鏡により咽頭を直接観察する検査法で、咽頭期の評価が主であり、口腔期の評価は不十分となる。一方、超音波検査は被曝がなく、3次元・4次元的な動態を捉えることも可能で、簡便性、非侵襲性、リアルタイム性にも優れ、口腔期の評価、特に舌運動の評価に有用である。本年度の研究では、前年度までに適正であることが確認された撮像条件および検査食を用いて撮像したデータを、昨年度までに開発した舌運動および食塊の動態観察に特化した画像解析用ソフトを用いて、描出能の検討をした。その結果、今回開発した解析ソフトは、舌背上の食塊を含めた舌運動を元画像よりも明瞭に描出し、さらに任意の方向からの観察も可能となり、超音波装置を用いた、口腔準備期および口腔期の嚥下動態(舌運動・食塊動態)の評価に有用であることが示唆された。しかし課題として、一つは、元画像を解析用ソフトへデータ変換する際、ソフト上で食塊の位置確認を容易にかつ正確に検出することを可能にするため、食塊の描出能をさらに向上させること、2つ目に、今回は高ボリュームレートが得られる撮像ボリュームでの画像を用いて解析したため、食塊とその周囲の限られた範囲での解析となったが、複雑な舌運動の全貌をリアルタイムに把握するためには、今後、食塊および舌全体を含めた、広範囲の描出を可能とする撮像方法および動態解析についての検討が必要であると思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今回開発した解析ソフトは、舌背上の食塊を含めた舌運動を元画像よりも明瞭に描出し、さらに任意の方向からの観察も可能となり、臨床応用にはさらなる検討が必要ではあるが、超音波装置を用いた、口腔準備期および口腔期の嚥下動態(舌運動・食塊動態)の評価に有用であることが示唆された。しかし、元画像を解析用ソフトへデータ変換する際、ソフト上で食塊の位置確認が困難で、解析に再現性が得られない症例を認めた。また、今回は高ボリュームレートが得られる撮像ボリュームでの画像を用いて解析したため、食塊とその周囲の限られ範囲での解析となり、食塊および舌運動の全貌をリアルタイムに把握することは困難であった。以上から、2つの問題点の解決のため、さらにソフトの改良が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
元画像を解析用ソフトへデータ変換する際、ソフト上で食塊の位置確認を容易にかつ正確に検出することを可能にするため、食塊の描出能をさらに向上させる必要があること、次に、今回は高ボリュームレートが得られる撮像ボリュームでの画像を用いて解析したため、食塊とその周囲の限られた範囲での解析となったが、複雑な舌運動の全貌をリアルタイムに把握するためには、今後、食塊および舌全体を含めた、広範囲の描出を可能とする撮像方法および動態解析についての検討が必要であると思われた。そのためには、新たな解析法の追加が必要であることが示唆され、現ソフトの改良あるいは新規ソフトの追加が必要となった。新規ソフトに関しては、本年度に参加した学会展示や論文報告などで、「2次元・3次元最新運動解析ソフトウェア DIPP-MotionⅤ」の嚥下動態解析への応用に関する有用性が示唆されたので、その購入による研究課題の継続を考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成25年度から27年度において、超音波装置を用いた嚥下動態解析に特化した解析ソフトの開発に時間と経費を要したが、本研究目的達成のためには、現ソフトのさらなる改良あるいは新たなソフトの追加が必要で、残額を次年度に使用する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
研究目的達成のためには、現ソフトのさらなる改良あるいは新たなソフトの追加が必要であり、学会展示や論文報告などでの情報収集の結果、「2次元・3次元最新運動解析ソフトウェア DIPP-MotionⅤ」の嚥下動態解析への応用に関する有用性が示唆され、このソフト購入による研究課題の継続を考えている。また、現時点までの結果での論文投稿を考えており、1つは現在投稿中である。
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