研究課題/領域番号 |
25462941
|
研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
澤井 宏文 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (40298823)
|
研究分担者 |
益崎 裕章 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00291899)
梅田 誠 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (90193937)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 歯学 / 歯周病 / メタボリックシンドローム / 慢性炎症 / 11β-HSD1 |
研究概要 |
メタボリックシンドロームにおいて脂肪組織における細胞内グルココルチコイド活性化酵素11β-HSD1の活性化が重要な役割を担うことが近年明らかになってきた。メタボリックシンドロームは脂肪組織の慢性炎症状態と考えられており、他の組織の慢性炎症状態における11β-HSD1の関与も報告されてきている。これらのことから、歯周組織の慢性炎症状態である歯周病においても11β-HSD1の活性化が原因の一つとなっている可能性が高いと考えられる。歯周病とメタボリックシンドロームとの関連については知られているが、歯周病における11β-HSD1の関与については今まで報告されていない。そこで我々は、歯周病における新たな治療ターゲットとして11β-HSD1の役割を解明し、11β-HSD1阻害剤による歯周病治療の可能性を探究することを目的として研究を開始した。 その結果、歯周病患者の歯肉組織においては健常者の歯肉組織と比較して11β-HSD1遺伝子の発現が有意に亢進していた。また、歯周ポケットの深さと11β-HSD1遺伝子発現との間には有意な正の相関関係が認められた。これらの結果より、11β-HSD1遺伝子発現亢進が歯周病発症に関与する可能性が示唆された。 今後は、歯周病における11β-HSD1の役割をさらに明らかにし、メタボリックシンドロームの新規治療薬として期待されている11β-HSD1阻害剤を歯周病治療に応用するために、歯周病モデル実験動物を用いて11β-HSD1阻害剤の歯周病に対する効果を検討する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
歯周病患者の歯肉組織における11β-HSD1遺伝子の検討に関しては症例数が順調に増加しているが、動物を用いた歯周病モデル実験についてはまだ準備中の段階である。
|
今後の研究の推進方策 |
実験動物(マウスあるいはラット)を用いてLPSなどの刺激により歯周病モデルを作製し、その歯周組織における11β-HSD1遺伝子の発現についてRT-PCR法により検討する。さらに、11β-HSD1阻害剤を用いて歯周病モデル動物に対する歯周病の改善効果を検討し、11β-HSD1阻害剤による歯周病治療の可能性を探究する。 なお、研究協力者として、中田貴也先生(大阪歯科大学歯周病学講座大学院生)にも研究に加わってもらう。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当該年度において、研究計画の遅れのため動物実験を行うことができず、そのための予算が残ったため、次年度に使用することとした。 実験動物(マウスあるいはラット)を用いてLPSなどの刺激により歯周病モデルを作製し、その歯周組織における11β-HSD1の発現についてRT-PCR法や免疫組織染色により検討する。
|