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2014 年度 実施状況報告書

歯科材料の微小接着強さ試験に対する信頼性データー分析の導入

研究課題

研究課題/領域番号 25462944
研究機関北海道大学

研究代表者

池田 考績  北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (90222885)

研究分担者 井上 哲  北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (80184745)
田中 享  北海道大学, 大学病院, 講師 (90179771)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードワイブル分析 / 信頼性試験 / 微小引張り接着力試験
研究実績の概要

平成26年度は、平成25年度に評価した3種類の市販の歯質接着材料に新たに3材料を加えて、象牙質接着性能を微小引張り接着強さ試験により評価した。使用材料は、クリアフィルメガボンド(MB:クラレ ノリタケ社)、クリアフィルメガボンドFA(FA:クラレ ノリタケ社)、イージーボンド(EB:3M ESPE)、ボンドフォース(BF:トクヤマデンタル)、ビューティーボンド(BB:松風)およびG-ボンド プラス(GB:ジーシー)である。北海道大学の倫理審査委員会の基準に従って収集されたヒト抜去第三大臼歯の歯冠部分を除去後、通法により試料(1 mm x 1 mm スティック状)を作製し、接着の24時間後に微小引張り接着試験を行った。得られたデーターは統計処理ソフト(JMP9.0)を用いてワイブル分析を行った。
ワイブル分析の結果、尺度パラメータはEB: 83.3, MB:82.2, GB: 55.9, BB: 55.4, FA: 53.9, BF: 43.8 MPaであった。 形状パラメータ(m)はEB: 5.5, MB: 5.3, GB: 2.9, BB: 2.4, FA: 2.3, BF: 1.6 であった。統計学的には尺度パラメーターおよび形状パラメーターは、EBおよびMBでは、他の4材料よりも有意に高く、BFは他の5材料に比べ有意に低い値であった。尺度パラメーターが低い材料はまた形状パラメーターも小さく、低い引張り応力による破壊の確率が高く、接着における信頼度が低いことが示唆された。20 MPaの応力を加えたときに試料が破断する確率は、MB: 0.06, EB: 0.04 % とほとんどなかったが、BF: 24.6 % と全体の1/4が破断する可能性があることが明らかとなった。
以上の解析から、歯科接着材料の信頼性は、材料によって大きく異なることが明らかとなった。今後は、水中漬積等による耐久性試験により、同一材料内で信頼性に変化があるかを検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究室の耐震工事により、研究室が十分に機能しない時期が半年ほど生じ、遅れている。接着耐久性試験の結果にワイブル分析を適用する予定であったが、現在同試験のための試料作製を行っている段階である。
平成26年度は、6種類の歯質接着材料に対する検討を行った。ワイブル分析は接着材料の信頼性評価に応用可能であり、十分に有用であることが明らかになった。評価項目としては、従来のパラメトリックな統計法との対照が容易な「尺度パラメーター」、測定値の分布の形状の表現、比較に有用であり、材料の信頼性を端的に表現できる「形状パラメーター」および比較的小さな応力により破断する試料の割合の算出が適切と考えられる。
次年度以降に必要となる接着耐久性試験用試料の準備はすでに開始している。接着耐久性は平成26年度から我が国で保険導入されたCAD/CAM冠と接着性レジンセメントの接着性をCAD/CAMブロックの表面処理を変えて評価する。水中浸漬あるいはサーマルサイクリング後の接着性も併せて評価し、接着耐久性をワイブルパラメーターの変化により評価する予定である。

今後の研究の推進方策

今後の計画推進に関しては、CAD/CAM冠と接着性レジンセメントの接着性をCAD/CAMブロックの表面処理を変えて評価する。水中浸漬あるいはサーマルサイクリング後の接着性も併せて評価し、接着耐久性をワイブルパラメーターの変化により評価する予定である。

次年度使用額が生じた理由

耐震工事により半年ほど研究室が十分に使用できない時期が生じたため、研究の遂行がやや遅れている。研究発表等で予定していた旅費等は、今年度に支出されていない。

次年度使用額の使用計画

今後接着耐久性試験のための物品費、研究成果の発表のための旅費等に使用予定である。

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公開日: 2016-05-27  

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