研究実績の概要 |
平成26年度は、平成25年度に評価した3種類の市販の歯質接着材料に新たに3材料を加えて、象牙質接着性能を微小引張り接着強さ試験により評価した。使用材料は、クリアフィルメガボンド(MB:クラレ ノリタケ社)、クリアフィルメガボンドFA(FA:クラレ ノリタケ社)、イージーボンド(EB:3M ESPE)、ボンドフォース(BF:トクヤマデンタル)、ビューティーボンド(BB:松風)およびG-ボンド プラス(GB:ジーシー)である。北海道大学の倫理審査委員会の基準に従って収集されたヒト抜去第三大臼歯の歯冠部分を除去後、通法により試料(1 mm x 1 mm スティック状)を作製し、接着の24時間後に微小引張り接着試験を行った。得られたデーターは統計処理ソフト(JMP9.0)を用いてワイブル分析を行った。 ワイブル分析の結果、尺度パラメータはEB: 83.3, MB:82.2, GB: 55.9, BB: 55.4, FA: 53.9, BF: 43.8 MPaであった。 形状パラメータ(m)はEB: 5.5, MB: 5.3, GB: 2.9, BB: 2.4, FA: 2.3, BF: 1.6 であった。統計学的には尺度パラメーターおよび形状パラメーターは、EBおよびMBでは、他の4材料よりも有意に高く、BFは他の5材料に比べ有意に低い値であった。尺度パラメーターが低い材料はまた形状パラメーターも小さく、低い引張り応力による破壊の確率が高く、接着における信頼度が低いことが示唆された。20 MPaの応力を加えたときに試料が破断する確率は、MB: 0.06, EB: 0.04 % とほとんどなかったが、BF: 24.6 % と全体の1/4が破断する可能性があることが明らかとなった。 以上の解析から、歯科接着材料の信頼性は、材料によって大きく異なることが明らかとなった。今後は、水中漬積等による耐久性試験により、同一材料内で信頼性に変化があるかを検討する。
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