コンポジットレジン修復物に対する審美性への要求が、ますます高まってきているにもかかわらず、歯との色調適合性は臨床において、日々、術者を悩ませ続けている。第一に歯とコンポジットレジンのシェードテイキングという重要課題を克服しなければならないが、ヒト歯牙の色は、ヒトそれぞれ千差万別であり、さらには歯種および部位によってもことなる。シェードテイキングの問題をクリアしたとしても、窩縁エナメル質とコンポジットレジン材料の光学的相互作用により、マージンラインが視覚的具象化することがある。マージンラインの具視化は、修復物の審美性を著しく低下させる。これらを解決するための方策について、コンポジットレジン修復物辺縁部にカメレオン効果を発現させることが有効であると考えられるが、コンポジットレジン修復物のカメレオン効果に関して、コンポジットレジン材料の光学的特性ならびに、窩縁処理法・修復操作法に関して、エビデンスを与える研究はまったく為されていない。本研究は、コンポジットレジン修復物の審美性の向上を目指し、その影響因子を明らかにするとともに、コンポジットレジン修復物の色調調和性とカメレオン効果に対しての、コンポジットレジン材料および窩底部象牙質の光学的特性、エナメル質窩縁形態との関連性を検討し、審美性に優れたコンポジットレジン修復臨床技法の構築を図った。
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