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2013 年度 実施状況報告書

金属化合物とフッ化物が象牙質コラーゲンの分解と脱灰に及ぶす影響

研究課題

研究課題/領域番号 25462949
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

中嶋 省志  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (90571282)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード象牙質う蝕 / フッ化物 / 脱灰 / コラーゲン / コラゲナーゼ / 根面う蝕
研究概要

酸による象牙質の脱灰抑制、および口腔細菌由来のコラゲナーゼ作用類似酵素(または象牙質内に存在するマトリックス金属要求タンパク質分解酵素:MMP)によるコラーゲンの分解抑制の両方の効果が期待でき、かつ歯面や歯肉に審美的問題が起きない活性成分の候補として、フッ化物亜鉛(ZnF2)を選定した。すなわち、ZnF2に含まれるフッ化物イオンによる脱灰抑制効果、およびZnに期待されるコラーゲン分解抑制効果である。
まず脱灰抑制効果の評価を以下のように行った。これまで広く臨床的に使用されてきたフッ化物塗布剤3種(①フッ化物ナトリウム[NaF]、酸性リン酸化フッ化物ナトリウム[APF]、サホライド[SDF、歯面や歯肉に着色を引き起こす])を比較対象群に、何も塗布しないコントロール群(Cont)、ZnF2群(水に溶けにくい性質あり)およびZnF2の溶解性を塩酸(HCl)で向上させたZnF2/HCl群、合計6群を設定し、脱灰抑制効果を比較した。すなわち、これらの溶液を牛歯の象牙質試料に塗布し、その後、酢酸緩衝液(pH5.0)に浸漬して脱灰を行い、試料の切片を作成して、X線(TMR)法にて象牙質のミネラル分の脱灰量を評価した。その結果、SDF<ZnF2/HCl≒APF≒NaF<ZnF2<Contの順で、脱灰程度が大きかった。
同様にコラーゲンの分解抑制効果を評価した。すなわち、これらの溶液をあらかじめ脱灰した象牙質試料に塗布し、その後、コラゲナーゼ液に浸漬してコラーゲンの分解を行い、分解程度を顕微鏡にて観察評価した。その結果、SDF<ZnF2/HCl≒APF≒NaF≒Contの順で、分解程度度が大きかった。
以上のことより、ZnF2/HClに脱灰抑制効果とコラーゲン分解抑制効果が期待された。今後、in-vivoを想定した種々の条件下で評価を継続する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、2つの観点からZnF2/HClの有効性を評価している。すなわち、脱灰抑制効果については世界標準法であるTMR法を用いて評価しており、今回の結果は十分客観的に説得性がある。
しかしながらコラーゲン分解抑制効果の評価法には、若干、客観性に不十分な点がある。すなわち顕微鏡にて得られる画像において、コラーゲンが分解した部分のみを抽出して解析ことに評価者の主観が入る。そのため、客観的で再現性の高い定量解析法の確立が必要と感じている。この確立に予定外の時間がかかってる。

今後の研究の推進方策

1)コラーゲン分解抑制効果の評価法の改善・設定。具体的にはトリプシンを用いて、コラゲナーゼの影響を受けたコラーゲンを特定する方法などを検討予定。
2)脱灰およびコラーゲン分解に影響を及ぼすであろうin-vivoでの様々な条件について、できるだけ多くの条件で検討を加える。具体的には、薬剤の塗布条件(時間や回数)、コラゲナーゼの処置条件(濃度、時間、回数)。
3)SDFおよびZnF2/HClの作用メカニズムの検討。具体的には、これら機能成分の象牙質内での濃度分布を機器を用いて視覚・定量化化する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ZnF2による脱灰抑制およびコラーゲン分解抑制効果について2014

    • 著者名/発表者名
      中嶋省志
    • 学会等名
      日本歯科保存学会(第141回秋大会)
    • 発表場所
      山形市
    • 年月日
      20141030-20141031

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公開日: 2015-05-28  

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