研究課題/領域番号 |
25462954
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
児玉 臨麟 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10272824)
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研究分担者 |
興地 隆史 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80204098)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ケイ酸カルシウム / 覆髄材 / リン酸カルシウム / アパタイト / 生体機能効果 / 動物実験 / MTA / 歯内療法 |
研究実績の概要 |
1,研究趣旨:本研究では、生体機能性を有し、アパタイト生成能のケイ酸カルシウム系歯内療法用材料の開発を目的とし、材料の試作から試作材料の理化学的性質の確認を行うものである。 2,材料の開発:ケイ酸カルシウム系生体機能性材料の開発について、今年度中において、ほぼ完成していた。また、材料のスペックを最も生体機能効果のあるもの、操作性のよいもの、価額の受け入れやすいもの、完成度の高いものを目指して、改良を繰り返し、試作を行っているところである。さらに、研究開発関係機関において、すでに特許申請が行った。 3,試作材料の理化学的性質、生体機能効果の検証:ケイ酸カルシウム系歯内療法用材料を試作する共同開発機関は、試作材料の理化学的性質の検証を行っている。また、我々は、試作材料の生体機能効果を主に検討し、試作材料は、良好な生体機能効果が持っていることは確認された。さらに、試作材料の生体機能効果は、従来品を比較して、匹敵するものであることは確認された。なお、生体内における機能効果については、主にラットを用いて、生体機能効果を確認するものである。動物実験を通じて、試作材料は、生体に対し、不良な刺激は示さなく、アパタイトの形成能などが確認できた。 4,実績:試作材料について、すでに学会発表2回行っており、学術論文を作成中である。 5,継続研究および研究成果の伝達:試作材料の開発は、ほぼ最終段階にはいており、次年度において、引き続き、材料のスペックの確認やそれに試作材料の理化学的性質、生体機能効果、動物実験による覆髄効果などを確認するための動物実験を行う計画である。また、研究成果の伝達について学会や論文などを通じて、試作材料の成果を広く紹介し、社会貢献できるように努めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1,研究開発:本研究について、アパタイト形成能のある生体機能性歯内療法用材料の研究開発を行うものである。本材料は、20年以上外国において、開発応用されているが、日本では、この種の材料の価額的に高く、用途的に覆髄に制限されているため、研究開発は、ほとんど行われていなかった。しかしながら、世界的にこの材料は多く利用され、良好な生体機能効果が示されているため、この種の材料の研究開発は急務となっている。我々は、関係機関と協力して、この種の材料の研究開発に力を注ぎ、当初、計画していた3年以上、かかる研究開発は、関係各方面の努力により、完成度の高い試作品は、すでに得られているところである。。 2,実験結果:試作材料について、in vitro, in vivo の研究が進み、これまでの同種材料を比較した場合、生体機能効果、物性などにおいて最も良好な結果が得られていることが確認できた。また、動物実験を通じて、生体に対する好影響の結果が得られていて、生体内に用いても、実験室における研究結果と変わらない効果が得られると推測されている。 3,研究発表:試作材料について、基礎的研究が進み、学会発表は、すでに2回を行い、研究論文の作成が進めているところである。 4,今後の展開:試作材料について、理化学的性質に関する基礎的研究がほぼ完成していて、これから、生体内における生体機能効果を確認するための動物実験を集中的に行うところである。 5,試作材料の改良:ケイ酸カルシウム系、生体機能性のある歯内療法用材料について、より生態的効果の高いものに発展しようと、材料の構成から、理化学的性質や、生体機能効果などの性質を追求しながら、スペックの微調整を行い、品質の高い試作生体機能性ケイ酸カルシウム材料の開発を目材しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
1,基礎研究:試作生体機能性ケイ酸カルシウム系歯内療法用材料の理化学的性質について、従来の歯科用セメントを準じた各種実験を行い、歯科材料として、理化学的性質が備えているかの検証を続けて行う予定である。 2,生体機能効果:試作材料の生体内における機能的効果を確認するため、生態環境を最も近似したリン酸バッファーなど種々の擬体液を用いて、試作材料の生体機能的反応を検証する。また、これにより得られたアパタイトを含むリン酸カルシウムの生成状況や生成物、結晶性について、電子顕微鏡、偏光顕微鏡、分析電子顕微鏡などによる検証を行う予定である。 3,生体内における反応:試作材料は生体内における反応を確認するため、ラット皮下に試作材料の練和物を埋入して、一定の期間経過してから、材料と周囲組織を取り出し、アパタイトを含むリン酸カルシウムの形成や、細胞、結合組織に与える影響、カルシウムやケイ素など材料から組織に取り込まれる状況、埋入した材料周囲における石灰化などをさらに検証を行う予定である。 4,覆髄効果:ラットの臼歯について露髄環境を作り、試作材料を適用し、一定の期間を経過してから、動物による覆髄効果を確認する予定である。また、条件がそろえば、人抜去歯なども使用して検証する予定である。 5,研究情報公表:試作材料の研究データー、研究成果を学会や学術論文を通じて、国内外に公表するように準備しているところである。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究機材の購入に当たり、割引は生じたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
1,試薬の購入に使う予定である。
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