研究課題/領域番号 |
25462955
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
石川 裕子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40401757)
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研究分担者 |
大島 勇人 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70251824)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 歯髄 / BrdU / 歯髄幹細胞 / マウス / 発生 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、DNA合成期に核内に取り込まれるBrdUを妊娠マウス腹腔内に毎日1回(150mg/kg)3日間投与した後、一定期間置くと幹細胞をラベルすることができる胎生期ラベリング法を行ったICR仔マウスを使用した。方法は、胎生期ラベリング法を行ったICR仔マウスを生後から5週齢まで経時的に固定し、EDTAで脱灰・パラフィン包埋後、頭部矢状断パラフィン切片を作製し、発生過程における歯髄に存在するBrdU陽性細胞と各種幹細胞マーカー発現を検索した。 その結果、ターンオーバーの速い口腔粘膜上皮では、Sox2、SSEA3、Gli1は生後5日、生後3週共に発現されるが、BrdU陽性細胞は生後3週では発現されなかった。切歯形成端では、Gli1およびBrdU陽性細胞は外エナメル上皮側に多く発現し、Sox2は切歯形成端全体に強い反応が見られつつも外エナメル上皮側に強く発現していた。しかし、細胞増殖マーカーであるKi67陽性細胞は、内エナメル上皮側に多く局在していた。臼歯では、Gli1陽性細胞およびSSEA3の特異的反応が見られたが、BrdU陽性細胞と異なる局在がみられた。 口腔粘膜上皮の結果からBrdU陽性細胞は静的な幹細胞と考えられた。また、Gli1タンパク質はソニック・ヘッジホッグ(SHH)シグナルで維持されているという研究(Hu Zhaoら,2014)があること、切歯形成端において、Gli1陽性反応とBrdU陽性細胞の局在が外エナメル上皮側でオーバーラップしていたことから、静的な歯髄幹細胞ニッチの維持にソニック・ヘッジホッグシグナルが関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
切片上で特異的な反応を示さない幹細胞マーカーもあったが、Gli1、Sox2および増殖細胞マーカーのKi67の結果から、切歯におけるBrdU陽性細胞と幹細胞マーカーとの関係性が明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、静的な歯髄幹細胞ニッチの維持にソニック・ヘッジホッグシグナルが関与しているかどうかの確証実験を行う。方法としては、パラフィン切片を使用し、上顎第一臼歯切片では歯髄、切歯切片では歯乳頭/歯髄およびエナメル器におけるBrdUとShh、Ptch、Gli1などのタンパク質ならびにmRNA発現パターンを光顕にて観察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験を行う予定であったSox2 in situハイブリダイゼーションが途中のため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
上顎第一臼歯歯髄、歯乳頭/歯髄およびエナメル器におけるBrdUとShh、Ptch、Gli1などのタンパク質を光顕観察およびSox2 in situハイブリダイゼーションに必要な材料費、研究成果の公表費等に使用する予定である。
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