研究課題/領域番号 |
25462956
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹重 文雄 大阪大学, 歯学部附属病院, 教授 (60206969)
|
研究分担者 |
三浦 治郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (70437383)
西 竜治 大阪大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (40243183)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 象牙質 / 歯根破折 / コラーゲン / 電子顕微鏡 / 石灰化組織 |
研究概要 |
25年度においては、試料加工と観察手法の確立に重点的に時間を割いている。 ①試料の加工手法および加工デザインの決定においてはおおむね作業を終えており、人工的に付与した亀裂を効果的に包埋して切断を行うことで効果的な亀裂含んだ切片の作成が可能となった。さらに破折した部位の形態を確認するためにウルトラミクロトームにて切断するため部分脱灰および包埋を行い観察用の試料を作成することにより破断面のコラーゲンの状態の観察も可能となった。この手法により今後、歯の亀裂進展パターンと象牙質を構成する有機物の大半を占めるコラーゲン線維における加齢変化との関連を調べることが可能となった。当初想定されたFIBによる薄切可能においては、比較的精度の高い可能が可能となったが試料表面への打ち込みに関しては、打ち込みの起こりやすい試料に関してはウルトラミクロトームを用いるたことにより回避することが可能となった。ウルトラミクロトーム法はダイヤモンドナイフを用いて切削を行うことからコンプレッションなどの試料損傷が起こりやすく切削方向や切削速度などのデータを今後蓄積していく予定である ②FIB、ウルトラミクロトーム加工およびトモグラフィー観察においては、亀裂において安定した結果を出せるようになっており、今年度だけでも加齢に伴う象牙質内の石灰化と歯根亀裂の発生に関する知見を多く生み出した。加齢による細管内の石灰化が亀裂進展のパターンに影響を与えることにより亀裂伸展抵抗に影響を与えることが示唆された。 電子線トモグラフィー法においてはFIBおよびミクロトーム法の両方の手法に関して検証を行い精度の高いデータが得られるようになっている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
電子顕微鏡を用いた未脱灰硬組織の構造観察手法を応用した論文発表が2件報告された。未脱灰でないと観察が不可能である象牙質内微小破折と加齢との関連性が英文誌のMicroscopyにて報告され、さらに加齢と象牙質基質への糖化最終生成物の沈着に関しての報告がArchives of Oral Biologyに掲載され象牙質疾病メカニズムに関連する研究として注目されており本研究から派生した実験手法などが様々な形で評価されている。
|
今後の研究の推進方策 |
研究の進捗が予想よりも早く進んでいるため、予定を前倒しして、電子線トモグラフィー観察を象牙質内の有機物まで含めてさらに進めることも視野にいれて今年度の研究を進めていく予定である。得られた3次元形状データを解析モデルとして加工し、様々な条件による応力分布の解析を行う。 加齢による石灰化と亀裂進展パターンなどのin slicoでの再現も視野に入れて研究を進めていく予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
試料加工の予備実験が比較的順調に進んだため包埋用の樹脂などの購入が低額で可能となったため。 次年度においても同様の物品の購入予定があるため使用計画に変更はない。
|