研究課題
歯の破折には、顎骨や歯といった比較的大きなスケールから、エナメル小柱、象牙細管といったミクロのスケールまでの様々な構造が関与する。今回、我々は硬組織の破折評価に、ミクロ~マクロスケールの要素をとりいれたマルチスケール応力解析を用いることによりマクロ構造がミクロ構造に与える影響をも考慮した解析を行うことを目的とした。歯の亀裂の先端部の微細構造は、光学顕微鏡では分解能の問題で捕らえることが難しいが、本研究は、集束イオンビーム加工装置による超微細試料加工技術と超高圧電子顕微鏡を用いたトモグラフィー撮影法を行いることにより亀裂進展における微細構造の影響を可視化しようというものであった。透過型電子顕微鏡の特徴である電子回折法を用いたアパタイト結晶の配向性と亀裂との相関を調べたりすることも可能でありマルチスケールな力学的視野と超微細な構造学的視野を併せた多面的解析を行うことに独創性がある。本研究の成果は、歯の破折発生メカニズムを解明する上で非常に有用な情報を与えるとともに、その手法は多方面への応用が期待できるものと考えられる。歯は老化により破折しやすくなると言われている。象牙質の亀裂観察結果においても、若年者と高齢者で比較すると、加齢により亀裂伸展様相の変化が認められた。TEMだけでなく超高圧電子顕微鏡(Ultra-High Voltage Electron Microscopy:以下UHVEM)にて観察することで、若年者と高齢者の亀裂伸展の様相の相違をより顕著に示すことに成功した。この研究結果を、The 91th IADR General Session(2013年)で発表し、論文『Structural modifications dentinal microcracks with human aging』Microscopyに発表した。
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