研究課題/領域番号 |
25462957
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三浦 治郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (70437383)
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研究分担者 |
福島 修一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40362644)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 糖化 / 加齢 / 象牙質 |
研究実績の概要 |
本年度においては、象牙質の加齢変化における評価法の確立として、ウェスタンブロッティング法及び免疫電顕法による定量化に取り組み多くの成果と学会および論文を発表した。特に基質蛋白に付着したAGEsを分離するためにコラゲナーゼや塩酸を用いる手法を確立し多くのデータを得ることが出来た。これらの評価手法と既に確立しているTCSPC法を用いたナノ秒蛍光法を組み合わせることにより生体内での糖化現象をリアルタイムで評価が出来るとともに生体内のAGEsを単離し物理化学的な特性を評価することも可能となった。これによりコラーゲン線維自体を劣化させる因子を特定することが出来、原因物質の精製にも今後取り組んでいく予定である。 免疫電顕法よりAGEsの沈着も象牙質内で均一ではなく歯髄周囲においておよびミクロオーダーでは象牙細管周囲において集積が起こっていることが確認された。これらの集積のメカニズムは石灰化や加齢に伴う色調の変化とも関連があると考えられ今後それらの発生メカニズムに関して調べていく予定である。また、糖化現象は血中の糖とも大きな関係があるため糖尿病や生活習慣の影響に関しても調べていく予定である。また、蛍光寿命測定を生体に応用することにより歯のみでなく皮膚や歯肉から架橋形成を評価することが出来ると考え装置の開発や応用なども検討している。従来の蛍光を用いた肌寿命測定器などは、蛍光のintensityを指標としているため肌の色といったコンディションに左右されやすいことが指摘されており、蛍光寿命を指標とすることで精度の改善がはかれるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は、コラーゲンの糖化および硬組織の分析関連の技術として2本の論文が掲載されており、2015年4月現在でさらにAGEsの定量手法と分析に関する論文も採択が決定しており順調に結果が出ている。AGEsの分析が進んでいるため前倒しで歯や歯肉から蛍光寿命を指標とした加齢分析装置の開発を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、定量化の精度をより上げるとともに、ELISAや質量分析と言ったより感度の高い定量化手法により微細な試料でもAGEsの量が測定できるように計画を立てている。また今研究において加齢に伴い象牙質のコラーゲン線維自体も酵素耐性が上がっている様相が認められたことから、加齢に伴う齲蝕耐性などを関連付けて最終年度の研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が順調に進んだため泳動用のゲルや抗体といった高額の消耗品の消費が最低限度行うことが出来た。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度においては、ELISAといった1施行あたりの単価の高い実験手法を用いる予定がありそれ以外にも様々な実験系を行うため、検出キットや抗体などを予定よりも多く使った際などに今年度からの繰り越しも用いる予定である。
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