研究課題/領域番号 |
25462960
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
内田 雄士 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (40363080)
|
研究分担者 |
應原 一久 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (80550425)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 糖尿病 / 歯髄炎 / 根尖性歯周炎 / 糖最終産物の受容体 |
研究概要 |
歯髄組織と根尖周囲組織には糖最終産物の受容体(RAGE)の産生を認める。特に歯周靭帯由来繊維芽細胞での産生は確認できた。その他、炎症に深くかかわっている炎症細胞である好中球とマクロファージでの産生は確認できた。 糖尿病患者群から採取した好中球では、健常者群から採取した好中球と比較してRAGEの産生量は増加している。また、それぞれの群から採取した好中球の産生する活性酸素量を測定すると、1.5~2倍程度糖尿病患者群から採取した好中球の方が産生量が多かった。また、RAGEのリガンドであるS100タンパク質を健常者群から採取した好中球に作用させると糖尿病患者群から採取した好中球の産生する活性酸素量と同等の産生量となった。 これらの結果から、炎症時に重要な役割を担っている炎症担当細胞はRAGEを介して炎症に深くかかわっている可能性が示唆できた。また、歯髄組織や根尖周囲組織でもRAGEの発現があることから、RAGEは何らかの役割を果たしている可能性を示唆装結果は獲得できた。しかし、歯髄組織や根尖周囲組織を形成する細胞に発現しているRAGEが炎症の波及や憎悪、進行へどのように関与しているかということはまだ明らかにできていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
糖尿病モデルマウスへの歯髄炎と根尖性歯周炎の誘導にRAGEの関与を確認する際に、モデルマウスの血糖値や体重だけでなく糖最終産物(AGE)の発現量に差ができるまで観察する必要がある。そのモデルマウスの作成に時間を要している結果、やや遅れているという達成度となっている。
|
今後の研究の推進方策 |
in vivoの系では糖尿病を誘導した上でAGEとRAGEの発現量が増加しているモデルラットを作成する。そのマウスを用いてRAGEの役割を調べるために分泌型RAGEによってRAGEの働きをブロックし、炎症の波及にどのような影響が出るかを調べる。 in vitroの系では歯髄由来繊維芽細胞と血管内皮細胞、歯周靭帯由来線維芽細胞を用いてRAGEの発現をノックアウトし炎症性サイトカインの発現やCox2の発現を確認し炎症への関与を明らかにする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当該年度は動物実験でモデルマウスの作成に手間取り、ターゲットタンパクであるRAGEに機能を確認することがほとんどできなかった。また、In Vitroの実験系ではそれなりの成果が出てきていると考えるが、計画をたてていた歯髄細胞を用いた実験が十分にできなかった。 機能解析などを行うための抗体やリコンビナントタンパク質の購入に充てる予定である。また、歯髄細胞や歯周靭帯由来繊維芽細胞を用い、各種細胞へのRAGEを介したS100タンパク質やAGEの影響を確認していく予定です。
|