研究課題/領域番号 |
25462960
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
内田 雄士 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (40363080)
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研究分担者 |
應原 一久 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (80550425)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 歯内病変 / RAGE |
研究実績の概要 |
昨年度は、in vivoを中心に実験を行った。先ずは、マウスの歯内病変モデルマウスを作成した。歯内病変モデルを作成する際に、下顎の第一臼歯を露髄させ、1,3,5,7日後の根尖周囲の炎症波及の範囲は、組織切片をHE染色し炎症所見を確認した。歯内病変モデルでは露髄範囲に応じて根尖への炎症波及速度に差があるため第1臼歯の咬合面全体を露髄させる、#6の根管形成用ファイルを根管孔内に挿入し根管内の歯髄に感染を容易にする工夫をした。そして、その手技を用いて糖尿病誘導マウスと健常マウスを用いて歯髄炎→根尖性歯周炎に至る速度の違いを確認した。糖尿病誘導マウスの作製は、5週齢のオスのKK/TaJclマウスにHight Fat Diet 32(HFD32)を8週間与えることで作成した。糖尿病誘導マウスの8週後(13週齢)の血糖値は450±54 mg/dl、体重は43±2.8gであり、健常マウス(普通食投与群)は血糖値が212±17mg/dl、体重は31±1.4gであった。根尖周囲への炎症波及範囲は露髄後3日後から明らかな差が生じていた。今回の研究で注目している糖化最終産物レセプター(RAGE)の関与を証明するためにリコンビナントRAGE(rRAGE)を露髄後すぐに根管内に投与群と非投与群を作成し比較した。rRAGE投与群は非投与群と比較して炎症の波及が緩やかである傾向が出た。しかし、注射を直に歯髄空内にするという投与法にはやや問題があるのではないかという考え、今後も投与法を検討する必要がある。その他、RAGEノックアウトマウスを用いることで、歯内病変へのRAGEの関与を確認する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
歯内病変モデルを作成するのにやや手間どったうえ、歯内病変に対するRAGEの関与を確認する際にrRAGEの投与法に苦心した。現在もまだ最良と考える投与法は見つかっていないことがやや目的達成が遅れている最大の要因と考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまで行ってきたin vivoの実験結果を裏付けるために、ヒトの歯髄細胞を用いて炎症を誘導し、rRAGEが炎症波及に関与しているか確認する。その際には、炎症性のサイトカイン発現確認していく予定である。細菌の構成タンパクを炎症誘導因子として用い、RAGEへの直接的関与と間接的関与の両方を確認することも計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物実験に手間取りin vitroでの実験系の進行が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
ヒト健常歯髄細胞の培養のため培地の購入に使用する予定
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