研究課題/領域番号 |
25462963
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
添野 光洋 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 研究員 (50315256)
|
研究分担者 |
平 曜輔 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40226725)
澤瀬 隆 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80253681)
鎌田 幸治 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60264256)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 象牙質 / 接着 |
研究概要 |
歯質は、エナメル質に比べ象牙質に対する接着が困難であり、臨床上充分に満足できる技術は存在していない。臨床では、単に補綴物の脱離だけではなく、歯根の破折や二次齲蝕などにより、歯冠修復物を長く機能させることができない症例がみられる.これは、象牙質と合着用材料との接着耐久性が良好でない場合に起こりやすく、従って、長期にわたって接着力を発現する接着システムの確立が急務である。トコフェロールの次亜塩素酸ナトリウムへの還元作用、および、レジンモノマーのラジカル重合への効果的な関与を明らかにし、有機質コラーゲンを除去した象牙質表面に対して、レジンを耐久性良く接着できる方法を開発し、その接着メカニズムを解明することを目的としている。走査型電子顕微鏡観察からは、AD ゲル法によって石灰質内部のコラーゲンまでもが溶解除去された結果、多孔質になっていることがわかっている。その穴にレジンが浸透、硬化すれば、象牙質の石灰質とレジンの直接的な結合の結果、接着力が発現することが明らかとなった。したがって、接着界面の有機質コラーゲンが加水分解されることによる接着の劣化(Nano-leakage)は生じにくく、エナメル質接着に近い、強固で耐久性のある接着が可能となるであろう。そして、それはAD ゲル法の後に、還元作用のあるビタミンと鉄イオンを共に溶解して成る象牙質用新規プライマーを用いることによって実現できることが明らかとなった。これは、脱灰された象牙質表層にレジンが浸透、硬化して樹脂含浸層が形成されるのと好対照である。この層は、象牙質表層のコラーゲン線維網を高分子材料で置換した生体傾斜材料とも言えるであろう。接着耐久性が改善されるうえ、接着界面が脱灰されにくく2 次カリエスの抑制効果も期待できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究目的と研究実施計画に基づいて実験を行った結果、今後の研究につながる新知見が得られた。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画調書および交付申請書に記載した研究目的と研究実施計画に従って実験することを基本とし、もし何らかの理由で研究がうまく進まない場合は、実験方法を適宜修正して、その後の研究を推進する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
備品の値引きや消耗品の購入を最小限にとどめたことなどによって次年度使用額が生じた。 実験に必要な物品の購入費、当該研究に必要な情報収集や学会発表のための旅費、その他論文作成のための諸経費に使用する計画である。
|