研究課題/領域番号 |
25462963
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
添野 光洋 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 客員研究員 (50315256)
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研究分担者 |
平 曜輔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (40226725)
澤瀬 隆 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (80253681)
鎌田 幸治 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (60264256)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 象牙質 / 接着 |
研究実績の概要 |
接着性レジンは、3元系重合開始剤を採用しているリン酸エステル系レジンや、有機ホウ素重合開始剤を採用しているカルボン酸系レジンがある.4-METAレジンでは、10%クエン酸と3%塩化第二鉄で表面処理(10-3処理)した象牙質との間に耐酸性のある樹脂含浸層を形成し、接着する。しかし、10-3処理は、リン酸処理に続く次亜塩素酸ナトリウム処理(ADゲル法)に比べ、仮着材などの接着阻害因子の影響を受けやすく、接着界面のコラーゲンが徐々に加水分解されると長期間の接着耐久性が望めないといった欠点がある。我々は、以前より、ADゲル処理後アスコルビン酸と塩化第二鉄が次亜塩素案ナトリウムの悪影響を打ち消し 、高い接着強度とともに、高い接着耐久性をもたらすことを報告してきた 。ただ、アスコルビン酸は、エタノールやアセトン、HEMAといったプライマーに含まれる代表的な溶媒には溶解しない.ところが,プライマーに含まれる代表的な溶媒である2-hydroxyethyl methacrylate (HEMA) に脂溶性のビタミンE(トコフェロール)は溶解する。そこで、HEMAとビタミンEの水溶液に、塩化第二鉄を含有させた試作プライマー液を作製し、リン酸、次亜塩素酸ナトリウムで処理した象牙質に試作プライマーを塗布、4-META/MMA-TBBで接着させたところ、次亜塩素酸ナトリウムの悪影響を受けないことを突き止めた。さらに、この試作プライマーは、保存安定性も高く、水洗ステップも省ける可能性が非常に高いことが示された。今後はトコフェロールの次亜塩素酸ナトリウムへの還元作用、および、レジンモノマーのラジカル重合への効果的な関与を明らかにし、有機質コラーゲンを除去した象牙質表面に対して、レジンを耐久性良く接着できる方法を開発し、その接着メカニズムを解明する予定である。
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