研究課題
日常臨床で,歯科用双眼拡大鏡は広く使用されてるようになってきた.特に,近年ではこれら双眼拡大鏡にLEDやハロゲンを光源としたライトを併用して臨床応用されている.本研究では,双眼拡大鏡と併用されている光源について,分光放射照度計を用いてその光特性を調べた.その結果,各製品によって光強度が異なるのみでなく,波長域やその波長分布が異なっていた次に,これらの光源を用いて臨床でコンポジットレジン修復を行うことを想定し,コンポジットレジンに各種双眼拡大鏡用ライトを曝露し,重合深度を測定した.その結果,①光強度が大きい製品で,より大きい重合深度を示した.②デンティンシェードに比べ,エナメルシェードでより大きい重合深度を示した.③デンティンシェード(A3相当)では,各製品間で重合深度に差を認めなかった.④エナメルシェードでは,製品間で重合深度に差が認められ,透明度の高い製品ほど重合深度が大きかった.⑤オレンジ色のフィルターを用いると,強い光強度を用いてもコンポジットレジンは重合しなかった.コンポジットレジンを用いて審美的,低侵襲的に修復を行うにあたり,その確実な接着性を求めることは長期耐久性の向上を目指すうえで重要である.そこでマイクロデンティストリーの臨床応用の一環として,セルフエッチング型の接着システムを用いた場合のコンポジットレジン修復を行った100症例について,セルフエッチングプライマー応用時の窩洞内での挙動をマイクロスコープ下で観察し,エアブローでの溶媒除去に要する時間の測定を行った.その結果,溶媒除去に要した時間は平均40.8秒であり,最大で90秒の溶媒除去時間を必要とした.また,溶媒除去は上顎前歯の症例より,下顎大臼歯の症例でより多くの時間を必要とすることが明らかとなった.
すべて 2015
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Bio-Medical Materials and Engineering
巻: 27 ページ: 279-288
10.3233/BME-151274