研究課題/領域番号 |
25462974
|
研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
岡田 周策 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (00177049)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 歯科用ジルコニア / 表面解析 |
研究概要 |
セリア系正方晶ナノジルコニア複合セラミックスの表面状態の解析に際して、最大の難点は、表面を均質な研磨面とすることである。ジルコニア自身の硬度は非常に高く、従来と同様の研磨方法では、表面の研磨は著しく困難であった。そこで自動研磨機を用いて時間をかけて研磨する方法を試みたが、研磨対象のジルコニア単体では研磨が進むにつれて側面とのエッジが立ち、研磨紙に食い込むことが判明した。そこで、試料を樹脂中に包埋し、エッジが立たないように研磨する方法をとったところ研磨紙に食い込むことなく研磨できることが判明した。これにより均質な鏡面研磨が可能になった。また、ジルコニアが固いがゆえに、研磨紙の研磨剤自身が崩壊し、粗い研磨紙も次第にその粒子がつぶれ細かい研磨紙と同様になることも分かった。この新たに開発した研磨方法でジルコニア表面を研磨することにより、従来のものよりもより鏡面に近い研磨ができた。この研磨された試料を用いて、そのままの表面粗さ、表面硬さ、表面の元素分析を現在進めているところである。同時にイットリア系ジルコニアの研磨も終了しており、比較検討を行っているところである。この表面の状態が、陶材焼成温度まで上昇させることによっておこる変化を次年度には観察していきたいと考えている。この観察にはジルコニアの切断面の観察が必須となるが、ダイヤモンドブレードでの切断が可能であり、その後、研磨も今回用いた研磨方法であれば可能であることも予備実験で確認できた。今回開発された研磨方法は、本学でほかにジルコニアやチタン材料の研究を行っている者にも公開し、それらの材料の均質な研磨が確認できている。 ジルコニアの均質な面が得られたことにより、表面処理の影響も観察可能になったので、ジルコニアへのサンドブラスト処理の効果も合わせて観察することを実験に追加することとした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ジルコニアの表面の鏡面研磨法改良に時間を取られてしまったが、均質な表面を得ることは必須事項であることを考慮するとこの研磨方法確立は非常に有意義であったと考えている。均質な表面を得ることにより、実験の新たな可能性を見出すこともできた。
|
今後の研究の推進方策 |
陶材焼成のための温度変化をジルコニアに与えることによって生じる表面および内部変化を硬さの変化や元素分析手法を用いて今後行っていく所存である。同時に、シリカ応用のサンドブラスト処理(ロカテック)によるジルコニア表面に対する効果も同時に行っていこうと考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
ジルコニア自身の硬度が非常に高く、研磨方法確立に時間を費やしたため当初予定していた陶材焼成温度上昇とその影響についての実験が遅れている。そのため、当初使用する物品費に余剰が生じてしまった。 今年度、均質な表面を得ることが確認できたため、表面処理の実験も合わせて行っていくこととした。そのため、余剰の研究費に関してはこちらに充てる所存である。
|