生物学的覆髄を可能とする治療法の確立を目指して、新規覆髄システムの検討を行った。まず覆髄時に必須の歯髄組織の耐性向上に果たすHSP70の重要性を確認し、HSP70誘導剤による覆髄法の可能性を示した。また歯髄細胞の炎症応答時の挙動の解析を行った上で、新規歯髄消炎剤の開発とその可能性について解析した。さらに覆髄後、歯髄活性を保ちながら咬合圧に耐え、十分な封鎖性を維持できる質および量の象牙質様硬組織の形成誘導法について検討し、ヒト多血小板血漿や生体活性ガラスの応用について重要な知見を得ることができた。以上より歯髄の有する自然な象牙質-歯髄複合体の発生・修復過程を再現する覆髄法確立に重要な知見を得た。
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