研究課題/領域番号 |
25462984
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
関田 俊明 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (90236092)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 全部床義歯 / 慣性測量装置 |
研究概要 |
本研究目的は手指による触知の代わりに定量的に義歯の変位を計測し、咬合の適否を診断するするIMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)型咬合診断器を開発することである。今までの義歯の動揺量を計測するMKGやモーションキャプチャー装置は大きく使用法も煩雑でさらに測定に拘束を伴うので生理的な下での計測は難しい。そのため実際に臨床の場で使用される事はなった。また積分型分類される咬合紙やプレスケ-ルでは義歯が早期接触から咬合力によって見かけ上の義歯の咬頭嵌合位に変位したまでの経過を同一記録媒体に重ね合わせて記録するので、時系列で進行する義歯の動揺(早期接触の有無、左右前後の咬合のバランス等)を診断することは難しい。時系列の変化を追うことができるT-SCANシステムは不感応域の存在、繰り返し使用による感度の低下とシートの厚みによる影響から正確な義歯の咬合時の状態を把握できない。 今年度は臨床の場で容易に利用できるように慣性計測装置の改良を行った。本装置は9自由度のIMUセンサ、組込み用制御CPU、Bluetooth送受信部より構成されている。今まで実験的に試作していた慣性想定装置は6自由のIMUセンサを用いていたが、今回新たに作成した装置は3軸の加速度、3軸の角速度に加え、3軸の地磁気センサを内蔵したIMUセンサを用いたことにより、従来型よりより正確に計測すること可能となった。また計測ソフトウエアを改良して、従来型のサンプリングレ-ト100Hz/secから200Hz/secへ向上をはかり、より正確な測定が可能となっている。また有線でデ-タを送信していたところを、今回Bluetooth技術にて無線で計測結果を送信することができ、計測条件の制約が少なくなり、また感電等の危険性をなくすことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究計画は、慣性計測装置の製作(IMUセンサ、制御部、デ-タ送信部)とセンサ取り付けジグの製作である。今回新たに9自由度のIMUセンサ(3軸加速度、3軸角速度、3軸地磁気センサ)、制御用CPU、Bluetooth無線送受信部より構成された慣性測量装置を製作した。測定装置の較正実験、耐久性については現在進行中である。近々終了予定である。また、IMUセンサを義歯に取り付けるためのジグも試作は終了しており、慣性測量装置の最終形態が決まれば直ぐに対応できる状態である。このように、研究はおおむね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はIMUセンサに組み込まれているソフトで姿勢角(正確にはquaternion)を出力しているが、次年度からはIMUセンサからの生デ-タ(加速度、角速度、地磁気)を使用して、次年度購入予定の制御系設計・シミュレーションオンモジュールアドオンソフトを用いて拡張型カルマンフィルタをはじめとする各種の制御フィルタを用いたときの、測定精度の比較較正実験を行う予定である。また合わせて臨床実験として実際に患者さんの義歯の動揺量を計測してゆく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
残金4,406円では、今年度計画した研究を遂行するための物品は購入できなかったため、繰り越した。 今年度の余剰金と合わせて、次年度本研究のためのIMUセンサを購入する予定。
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