研究課題/領域番号 |
25462985
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
黒川 勝英 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (40453766)
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研究分担者 |
上野 俊明 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30292981)
高橋 敏幸 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80360923)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 姿勢調節 / 噛みしめ |
研究概要 |
我々が普段行っている随意運動中に含まれている姿勢調節に予測的姿勢制御がある。予測的姿勢制御とは、外乱による身体バランスの不均衡に対応するための姿勢調節としてよく知られている。身体運動を行うということは、現在保っている身体バランスを崩すということでもあるため、随意運動には常に姿勢調節機構の働きが必要不可欠であり、噛みしめが予測的姿勢調節機能に関与するか否かを検索することは、意義のあることと考えられる。そこで、まず実際の運動時に噛みしめが発現しているか否か、さらに発現しているのであればどのようなタイミングで発現しているかについて検討した。被験者はアイスホッケー経験者3名である。課題はスラップシュート(スティックを大きく振り上げて行う、以下SLAP)およびリストシュート(スティックブレードを氷上につけたまま小さなモーションで行う、以下WRIST)の2種類とし、各2回の試技を行わせた。シュート動作はデジタルビデオカメラ(EX-FH100、Canon)を用いて記録した。咀嚼筋活動は右側咬筋に表面電極(テレメータピッカ、日本光電)を装着し、マルチテレメータシステム(WEB-1000、日本光電)を用いて導出記録した。実験終了後、画像解析ソフト(ToMoCo、東総システム)上でシュート動作画像と右側咬筋筋電図を同期処理し解析を行った。すべての被験者で、SLAP、WRISTいずれのシュート時にも咬筋活動が発現しており、その咬筋onsetは最大スイングスピード到達に先行していた(SLAP:-0.89±0.18 s、WRIST:-0.59±0.05 s)。以上の結果から、アイスホッケーシュート動作時に咬筋が随伴性活動を示すことが明らかとなり、遠隔筋である咬筋がパフォーマンス遂行のために協調的かつ合目的な働きをしているものと解釈され、噛みしめがスイング時の姿勢調節に関わっている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究により、運動動作時の咬筋の随伴性活動を明らかにすることができ、遠隔筋である咬筋がパフォーマンス遂行のために協調的かつ合目的な働きをしていることを示すことができたから。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究では、噛みしめが実際の運動時に発現しており姿勢調節に関わっている可能性を示した。今年度は、これをもとにマウスガード装着により咬合状態を変化させたときの口腔機能と姿勢調節についての研究を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
事務手続き上、次年度の使用額になった事が理由として挙げられる。 消耗品に充てるつもりである。
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