現在、多数歯欠損に対し、ブリッジによる治療が困難な場合、義歯による補綴治療を行っている。中でも部分床義歯の場合、残存歯にクラスプを用いることにより、義歯の支持、安定および維持を得ている。クラスプがこれら3要素を発現するためには、交合および咀嚼力に耐えうるための剛性および疲労強度、義歯の着脱時にアンダーカットを乗り越える際、永久変形を生じないための弾性エネルギーが必要とされている。したがって、これらの諸条件を満たしている材料は金属材料であり、口腔内環境では腐食の問題が避けて通れないことにより、耐食性に優れた非貴金属合金および貴金属合金がクラスプとして用いられている。しかしながら、金属材料をクラスプとして用いることは、金属アレルギーおよび審美性、さらにはコストなどの問題が生じている。これらの問題を解決するため、近年ではセラミックスやレジンとガラスファイバーの複合体などでクラスプを作製する研究が行われている。 本研究では、上記問題点を踏まえ、ジルコニアを用いた既製クラスプの開発を試みている。 本年度は、セラミックス繊維と歯科用高分子材料との複合体を用いてクラスプを作製するための検討を行った。
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