研究課題/領域番号 |
25462994
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
舘村 卓 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (60188266)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 摂食嚥下障害 / レオロジー / 訓練食 / 高齢者 / 咬筋 / 官能試験 |
研究概要 |
高齢者では,低活動性や味覚閾値の上昇などによる食欲低下や全身機能の低下によって咀嚼嚥下機能にリスクを有することが多い結果,蛋白エネルギー栄養障害に陥り,一層全身状態が低下する.本研究は,そのようなリスクを持つ高齢者での咀嚼嚥下機能の賦活効果の高い訓練食の開発に必要な要素を明らかにすることを目的としている.平成25年度は,健常非高齢者を被験者として,市販高齢者食品を試料にして,口腔への取り込みから嚥下までの間での官能評価,食品のレオロジー分析,さらに咀嚼嚥下機能に関わる筋群の筋活動を時系列的に分析し,個々の測定結果の関係を検討した. 筋電図採取:咬筋,喉頭上筋群活動を表面電極によって採取した.採取方法は,既に主研究者が確立している方法に準じて行った.官能試験:官能試験は筋電図採取前にVAS(Visual Analogue Scale)を用いて行った.VAS項目は,「歯切れ」「食べ易さ」「ざらつき」「口どけ」「かたさ」「なめらかさ」「歯への付着」「のどごし」とした.レオロジー分析:㈱明治HD中央研究所と共同で行った. 予備的に付着性ならびに崩壊性の異なる市販プロセスチーズを用いた検討によって官能試験での評価と物性試験の結果が,咀嚼開始から嚥下までの間の時間を三分割した時間帯ごとの左右咬筋活動量の単位時間当たり仕事量によって説明できることを明らかにできた.それによると,のど越しが悪く付着性が高い食品では単位時間当たりの仕事量は低いが,官能試験にて好感を得た経時的に粘性が低下する物性を有する場合には,初めは単位時間あたりの仕事量は高いものの,短時間でテクスチャが低下することで必要な筋活動量が急激に減少することで良好に嚥下できることがわかった.すなわち,高齢者で咀嚼中に刺激性唾液の分泌量が減少することにより送り込み動作が影響する場合にも,時系列的に筋活動に反映されることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに確立した筋電図採取方法によって筋電図信号の採取分析が可能であったことや試験食品の物性分析を依頼している明治中央研究所における分析実験のプロセスも安定していることによって,方法論確立のための基礎段階での時間が少なくて済んだことが理由として考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者が所属研究機関を退職するにあたり,研究を中断したため,今後の推進については未定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年4月30日にて退職するため,研究途中で中断したことによる. なし
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