研究課題/領域番号 |
25462999
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
安部倉 仁 広島大学, 大学病院, 講師 (30159454)
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研究分担者 |
坪井 将洋 広島大学, 大学病院, その他 (20614382) [辞退]
大倉 知久 広島大学, 大学病院, その他 (20711360) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ブラキシズム / ストレス |
研究実績の概要 |
夜間睡眠時の顎筋活動,情動ストレス,起床時のTemporomandibular Disorders(TMD)自覚症状および睡眠時ブラキシズム(以下SB)の自覚と他覚の因果関係の解析を行った。研究対象者はTMD好発年齢初期の若年成人40 名(男性 24 名,女性 16 名,平均年齢 22.8±1.2 歳)とした。夜間睡眠時の顎筋活動を評価するため,被験筋は右側咬筋とした.筋活動の測定は超小型携帯筋電計を用い,サンプリング周波数は512Hz,振幅分解能は10bitにそれぞれ設定した。可能な限り日常生活環境かつ無拘束下での測定を行うため,測定場所は被験者の自宅とし,測定期間は任意の2夜とした。日本語版 Stress Arousal Check List(JSACL)を用いて,研究対象者の情動ストレスを評価した。研究対象者に回答させた後,規定の採点方法によりJSACL重圧感を算出し,これを情動ストレスとした。独自に作成した質問紙の項目により,起床時のTMD自覚症状およびSBの自覚と他覚を評価した。 起床時のTMD自覚症状およびSBの自覚と他覚に対する質問項目のそれぞれについて主成分分析を行い,情報を集約化した主成分得点を求めた。これらのパラメータを用いて重回帰分析を応用したパス解析を行い,得られた標準偏回帰係数(以下β)でパス係数を推定し,因果関係の強さを求めた。JSACL重圧感はDurationを増加させ,起床時のTMD自覚症状を起こし,増加したDurationと起床時のTMD自覚症状はSBの自覚と他覚につながっていることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は,得られたパラメータの相関行列から相互の関連性を検討し,相互の相関が高い類似のパラメータは主成分分析により情報を集約化した主成分負荷量を求め,相互に独立したパラメータはそのまま用いて,因果図式モデルを構築し,重回帰分析の手法を応用して各因子の直接効果の大きさを推定する予定であった。 起床時のTMD自覚症状,情動ストレスおよびSBの自覚と他覚などの因子相互間の関連の強さについて分析できたため,順調に伸展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
携帯筋電計により客観的に評価した夜間睡眠時の顎筋活動,心理テストにより評価した情動ストレス,質問紙法により評価した起床時のTMD自覚症状,SBの自覚と他覚,顎の疼痛および疲労,顎運動障害および開口障害,顎関節雑音などのTMD自覚症状などをパラメータとして数値化し,回帰分析を応用したパス解析を行い,夜間睡眠時の顎筋活動,情動ストレスおよびTMD自覚症状の因果関係を明らかにする。平成26年度は起床時のTMD自覚症状を主に分析したが,本年度は顎の疼痛および疲労,顎運動障害および開口障害,顎関節雑音などのTMD自覚症状を加えて分析する。 さらに,睡眠時・覚醒時ブラキシズムなどの口腔習癖,情動ストレスなどの心理社会的要因を客観的に数値化し,共分散構造分析の手法を用いて,Temporomandibular Disorders(TMD)発症にかかわる主要な因子の直接効果の大きさを推定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に計画していた以下の点について解析が終了したため次年度使用額が生じた。すなわち、パラメータの相関行列から相互の関連性を検討し、相互に相関が高い類似のパラメータは主成分分析により情報を集約化した主成分負荷量を求め,論理的根拠,時間の前後性などを考慮して因果図式モデルを構築し、重回帰分析の標準偏相関係数から因子の直接効果の大きさを推定まで解析が終了した。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究の特色である共分散構造分析(統計ソフトAmos:IBM)にて双方向の因果関係も考慮して直接効果を推定するため解析ソフトを購入し、結果の解析し学会発表、誌上発表等を行う計画である。
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