高齢者のサルコペニアは嚥下関連筋にも影響すると考えられる。嚥下関連筋の筋萎縮を防止するため,嚥下関連筋・咀嚼筋を標的にした電気的筋肉刺激装置の開発を本研究の最終目的とした。しかし研究途中で類似の電気刺激装置の商品化が判明し,当初の研究目的と計画を改変した。市販の電気治療器を適応外使用し,顎二腹筋前腹,咬筋と唾液腺に対して15分間電気刺激して,臨床症状の変化を検証した。 その結果,周囲の皮膚や筋などに不快感や疲労などを与えることなく,安静時唾液量は増加した。口腔乾燥の改善は嚥下機能に有利であり,嚥下関連筋・咀嚼筋と唾液腺への経皮的電気刺激は臨床上,嚥下機能の改善に有効である可能性が示された。
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