研究課題
チタンは生体親和性が高くアレルギーを起こしにくい金属とされているが,日常品等へのチタン使用量の増加に伴い,チタンに接触する機会は増加している.その影響かチタンによるアレルギーが疑われる症例の報告が,整形外科分野や心臓血管外科分野からされるようになってきており,本研究者もインプラント埋入術後にアレルギー症状を訴えた症例を複数経験している.その中で,整形外科手術とチタン製歯科インプラントが関与したと考えられる接触皮膚炎のCase ReportをJpurnal of Prothodontic Researchで報告した.また,金属アレルギーに関する疫学調査も行った.平成27年4月1日より平成28年3月31日の間に金属アレルギーの疑いで徳島大学病院歯科用金属アレルギー外来を受診した243名(男性50名,女性193名,年齢5~82歳,平均54.8歳)の患者に対して,鳥居薬品社製パッチテスト試薬金属シリーズと自家製剤(チタン系試薬(TiO2,TiCl4等)を含む)によるパッチテストを行った.その結果,何らかの金属試薬に陽性を示した患者の割合は82.3%であった,高い陽性率を示した金属元素はHg;42.8%,Cr;36.2%,Ni;33.7%,Pd;33.3%などであり,Ti系試薬に対する陽性率は低かった.マウスによる動物実験においては,チタンに対するアレルギーモデルマウスの作成を検討し,組織学的に検討した.酸化チタンやシュウ酸チタンカリウムで感作した群のアレルギー反応は,我々が作製したニッケルアレルギーモデルマウスの反応より弱かった.しかし,酸化チタンやシュウ酸チタンカリウムで感作した群においても,ワセリンで感作し生理食塩水で惹起した対照群と比較して,免疫組織化学的にリンパ系細胞が認められ,本研究で作成したモデルマウスはチタンに対するアレルギーを発症していることが確認出来た.
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)
Journal of Prosthodontic Research
巻: In Press ページ: In Press
10.1016/j.jpor.2015.12.004