研究実績の概要 |
昨年度はバイオガラスをゾルゲル法によりY-TZPに固着焼結させ積層する方法を確立させ、同時にアルミノシリケートガラスを含有するグラスアイオノマーセメントにバイオガラスを配合して硬化させることでY-TZPにコーティングできると考え、グラスアイオノマーセメントに様々な配合率でバイオガラスを配合させて硬化させた試験片の物性(3点曲げ強度)や細胞接着性について実験を行い、バイオガラスの添加率が増加するに従い、細胞接着性が増加するが、物性が減少することは分かった。本年度はY-TZPの焼結時に2種類の粒径(50, 125μm)のY-TZPビーズを圧接焼結し、表面に凹凸の形状を付けた後で、その上にバイオガラスを1400℃で焼結する方法を確立し、細胞増殖性についての実験を行った。実験では2種類の粒径のバイオガラスビーズを使ったディスク状試験片(直径10mm、厚さ1mm)とビーズを使用しないディスク試験片を作製した。また、それぞれ種類のディスクにゾルゲル法によりバイオガラスを焼結固着したディスク試験片も作製した。細胞増殖性試験には骨芽細胞様細胞(MC3-T3-E1)を使用し、2日、4日、6日後の細胞増殖性について調べた。表面性状については、表面が粗い方の試験片(125μm>50μm>コントロール)の細胞増殖性が増加した。また、バイオガラスでコーティングすることでも細胞増殖性が有意に増加した。本実験の結果から、強靭なY-TZPの表面を荒らした試験片にバイオガラスをコーティングすることで骨芽細胞の細胞増殖性が増加するということが解かり、Y-TZPインプラントの開発が可能であることが示唆された。
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