研究概要 |
近年,歯科界ではブラキシズムをはじめとする「力」の問題がクローズアップされている. 非機能運動時に発 生する咬合力は通常の咀嚼に比較して非常に大きく,歯の 咬耗,補綴装置の破壊,歯周疾患,TMDの発症および憎悪 因子となると考えられている. この大きな力は,インプラントにも大きなダメージを及ぼすことがある.これまで のインプラント体,上部構造の選択基準は,解剖学的な基準を元にCT等を駆使した検査,全身的な疾患等が考慮さ れている. しかし, 難易度判定基準に機能生理的な検査項目は含まれていない. 本研究では, 当分野が開発した小型筋電計を用いた日常生活環境下における咀嚼筋筋電図測定システムで, イ ンプラン ト患者の術前,術後の咀嚼筋筋電図を経時的に測定し, ブラキシズムによって生じるリスク因子を定量化することを目的とする. 口腔インプラントを埋入し,上部構造の破損した患者を被験者とし(15名),機能検査として無拘束小型筋電計を使用して 24 時間の咀嚼筋筋電図記録を行った. 得られた筋電図データを元に ,ブラキシズムの様相を観察したところ,夜間のグラインディングのみならず,日中のクレンチングでも強い筋活動が観察された.この結果の一部は日本インプラント学会,Academy of Osseointegrationにて発表報告した.
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