研究課題/領域番号 |
25463014
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
金村 清孝 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (50343439)
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研究分担者 |
藤澤 政紀 明海大学, 歯学部, 教授 (00209040)
近藤 尚知 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (70343150)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 上部構造の破損 / 小型筋電計 / ブラキシズム |
研究実績の概要 |
口腔インプラントの上部構造破損の原因としてブラキシズムや歯牙接触癖等の口腔悪習癖の関与が考えられている.本年度実施した研究では,日常生活環境下で測定可能な小型筋電計を使用し,上部構造破損ケースにおいて筋電図的に非機能運動をとらえることができたので報告する. 方法: 研究の主旨に同意が得られた口腔インプラント上部構造の破損を繰り返すブラキシズムの自覚のない男女10名を被験者とした.測定には我々が開発した小型筋電計(大きさ:64×21×12.5mm,重量:15 g)を用いた.本装置は小型で外観に触れにくく,日常の生活動作を規制することなく測定可能である.朝の始業前に来院し筋電計を装着し,翌朝起床時までの終日期間を日常と変わらず生活することとした.計測に際しては,測定の最初に最大咬みしめ100% Maximum Voluntary Contraction (MVC) を記録し,計測中の筋活動量を相対評価した.筋電図記録では電極を左側咬筋部に貼付した.得られたデータはPC上で分析を行い,行動記録を対応させた.食事を中心とした機能運動は,筋電図波形と行動記録を照合して判別した.なお,本研究は岩手医科大学倫理委員会の承認(No.01191)を得て行われた. Ⅲ結果: 覚醒時もしくは睡眠時のブラキシズム様イベントは,被験者のすべてに観察され,識別閾値を超えたイベントも観察された.単位時間あたりの筋活動量(非機能運動)は,すべての被験者で睡眠時よりも覚醒時が大きかった.覚醒時は弱く長く,睡眠時は強く短い筋活動が観察された. Ⅳ考察および結論: 本検査法は,終日におよぶ咀嚼筋筋電図計測から上部構造の破損を繰り返す患者の非機能運動を客観的に観察でき,上部構造破損の原因の一つがブラキシズムまたは歯牙接触癖であることが示唆された.さらに,患者の上部構造破損に対する不信感を解消する一助ともなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
なお,本研究内容は第44回日本口腔インプラント学会の課題講演優秀賞を受賞しており,成果として評価されたと捉えている.一方,ブラキシズムと上部構造は破損の関係を明確にするには,更なる被験者の追加によってデータの信頼性を高める必要性がある.
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今後の研究の推進方策 |
今後,部位の特定や咬合接触,偏心咬合位における誘導による分類等を含めた解析を行うため,被験者の追加とデータ整理を進める.なお,装置の安定性に問題が生じてきたケースがあったことから,今後は測定装置の改良も含め進めていく. 本装置を使用した検査法で口腔インプラント治療のリスク因子であるブラキシズムを定量化し,上部構造の設計や付与すべき咬合様式および,修復材料の選択のためのガイドライン策定の一助となるよう努める.
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次年度使用額が生じた理由 |
分析用ソフトの開発(修正)が年度をまたいでしまったため,それに充てる予算の次年度繰越が必要になったため.
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次年度使用額の使用計画 |
早急に開発し,追加実験(被験者数を増やす)を進めるように努める.
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