研究課題/領域番号 |
25463016
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
北川 昇 昭和大学, 歯学部, 准教授 (80177831)
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研究分担者 |
佐藤 裕二 昭和大学, 歯学部, 教授 (70187251)
内田 圭一郎 昭和大学, 歯学部, 助教 (30384332)
関谷 弥千 昭和大学, 歯学部, 助教 (40611968)
奥山 淡紅子 昭和大学, 歯学部, 助教 (90585788)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 歯科インプラント / 下顎遊離端欠損 / モデル実験 / ストレート埋入 / 有限要素解析 / 荷重解析 / 歪み量 / offset 配列 |
研究概要 |
歯科インプラントを利用した治療は、高齢者においても一般的に普及し、選択肢の一つとして認知されてきた。インプラントを3本以上埋入する場合、直線的に埋入するのではなくoffset配列させることでインプラントに加わる応力が減少するといわれている。しかし、この方法が顎骨周囲におよぼす影響を検討した研究は少ない。そこで,本研究では三次元有限要素解析モデルの再現性を検証することを目的に、実際にインプラントを埋入したモデルと三次元有限要素解析モデル(FEAモデル)の被圧変位量について比較検討した。 初年度である本年は、offset配列の影響を知るベースラインとして、エポキシ樹脂の模型上に、ストレートにインプラント(直径3.75 mm,長さ10 mm)3本を45 Nのトルクで埋入したモデルを製作した。その後、CAD/CAMを用いて製作した純チタン製のワンピースタイプの上部構造を15 Nで締結した。上部構造の咬合面上に100 N の垂直荷重を加え、被圧変位量を計測した。荷重部位は第一大臼歯相当部の咬合面上の頬側・中央・舌側とし、各部位に5回ずつ荷重を加え、計測を行った。同様の条件でFEAモデルにおいても解析を行い、それぞれの被圧変位量の比較検討を行なった。実物モデルの被圧変位量は,頬側荷重77.0 ~ 96.5 μm、平均88.6 μm、中央荷重56.6~ 80.1 μm、平均71.1 μm、舌側荷重60.7~ 69.8 μm,平均 65.3 μmであった.FEAモデルの被圧変位量は,頬側荷重27.3 μm,中央荷重18.7 μm、舌側荷重39.8 μmであった。 CTデータより内部構造が均一な三次元有限要素解析モデルを作製しただけでは、実際のインプラントの被圧変位量より小さい値となることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、ストレート配列のみならず offset 配列を行いインプラントを埋入したエポキシ樹脂製の実験モデルの製作は終了している。しかし、上部構造の製作が行われていないために計測が実施されていない。 また、下顎第一大臼歯相当部周囲のモデル表面(近心、遠心、頬側、舌側)の歪みを計測するための、単軸歪みゲージの選択(KFR-02N-120-C1-11 共和電業社製)を終了し、貼付用のガイドを製作し位置の正確性を検討した。したがって、有限要素解析(FEA)モデル、インストロン型万能試験機から得られる荷重量、歪みゲージからのデータの3方面からの検討が可能な状況である。 現在、エポキシ樹脂製の実験モデルにおいては順調な進捗状況かと思われるが、光造形モデルにおいては停滞していると言わざるを得ない。理由としては、予備実験の結果、光造形モデルでは正確なインプラント窩が形成されるが、インプラント体を埋入する際のトルクによってルーズになる傾向がドリリング時よりも多く、これが、実際の荷重試験におけるデータのバラツキとなっている。また、当初想定したモデル内の2層構造(皮質骨と海綿骨)についても、メーカー側での対応が遅れていて、完成されていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、エポキシ樹脂の offset モデルの上部構造については発注中である。これが、納入されれば、実際の荷重試験を順次進めて行けると考える。ただし、モデル表面の歪みに関しては検証の必要がある。 また、現在までの結果に関しては、2014年6月に南アフリカで開催される International Association for Dental Research (IADR) において発表を予定している(アクセプト)。 さらに、模型の光造形モデルについてはメーカ-側との改良・検討の必要性が高く、困難な状況が予想される。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度にあたる本年は、全てのモデルの上部構造を製作する予定であった。しかし、予備実験の計測と検討に時間を要したために、ストレートタイプのみの実験となり、offset タイプはオーダー出来なかった。そのため、次年度に繰り越すことになった。 インプラント体を offset 配列で埋入したエポキシ樹脂モデルはすでに製作済みであり、上部構造のオーダーも4月現在、終了している。これらが製作できれば、実験が継続可能となる。また、海外発表もアクセプトされていて、海外旅費として次年度経費を利用する予定である。
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