研究課題/領域番号 |
25463017
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
菅沼 岳史 昭和大学, 歯学部, 准教授 (10196694)
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研究分担者 |
小野 康寛 昭和大学, 歯学部, 助教 (70514876)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 睡眠時ブラキシズム / 睡眠ポリグラフ / グラインディング / クレンチング |
研究実績の概要 |
睡眠時ブラキシズム(SB) の臨床診断基準の妥当性を検証することを目的に,睡眠ポリグラフ(PSG)検査を用いて,SBの臨床徴候と咬筋筋活動との関連性を検討した. 被験者として,臨床徴候(過去6ヶ月以内の睡眠同伴者による歯ぎしり音の指摘,3歯以上の象牙質に及ぶ咬耗,起床時の咀嚼筋疲労感)のうち2つ以上を満たすものをSB群として21名, それらのいずれにも該当しないものをControlとして14名動員した(平均年齢25.8±2.9歳,女性51.4%).SBの確定診断のために,すべての被験者に対して咬筋筋電図を含むPSG検査を2夜実施した.睡眠構造の解析はAASMガイドライン(2007)に準拠し,診断基準をもとに同定したSB episodeをphasic,mixed,tonic の3タイプに分類し,さらにmixed episodeはphasic burstとtonic burstに分け,最終的に総持続時間を算出した.また,ビデオデータの音声出力より各episodeについて歯ぎしり音の有無を判定し,SBに関連しない嚥下や寝言などの口腔顎顔面領域の筋活動は除外した.前述の臨床徴候について,それぞれの有無(睡眠同伴者の指摘,10歯以上の咬耗,起床時症状)によりSB群を2群に分け,Control群と合わせ3群間でSB burstの総持続時間を比較した. 臨床徴候とphasic burstの総持続時間については,咬耗についての3群間で有意差を認め(p<0.0001),また,睡眠同伴者の指摘の3群間で有意差を認めた(p<0.0001).起床時の咀嚼筋疲労感とtonic burst総持続時間については,筋疲労感についての3群間で有意差を認めた(p=0.0002).起床時症状とphasic episodeの総持続時間については有意差を認めなかった(p=0.994)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
睡眠時ブラキシズムについての睡眠検査を順調に実施し、すでに統計解析を行っている。睡眠同伴者による歯ぎしり音の指摘、歯の咬耗,起床時の筋疲労感,咬筋肥大等の臨床徴候と、咬筋筋活動様相との関連性について、一定の成果が得られている状態である。睡眠時ブラキシズムの臨床診断と実際の筋活動との関連にもとづいて、臨床診断の妥当性についても、検討を重ねることができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、睡眠時ブラキシズムと臨床徴候に関する多面的な解析も行っていき、臨床診断のクライテリア確立に向けて、検討を重ねていく。また、専門学会での研究成果の発表、および専門雑誌への論文投稿を行い、広くその成果を公開していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度までの時点で、順調に被験者の募集およびデータ収集が進んでおり、また、新たに収集した睡眠検査データも、一般歯科治療に伴う検査とともに行うことができたため、予定額よりデータ収集に伴う費用がかからず、また、検査に伴う物品も、共同研究者との協力により、消耗する物品が少なくて済んだために、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
口腔内のデバイスや、可撤性の補綴装置を用いて、睡眠時ブラキシズムと臨床徴候との関連性を更に検討を重ねていく予定であり、次年度には、その可撤性のデバイスや測定に使用していく予定である。また、専門学会での発表や、専門雑誌への論文投稿を行って、本研究の成果を広く公開していく予定である。
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