研究課題
睡眠時ブラキシズム(SB)の臨床診断は,睡眠同伴者による歯ぎしり音の指摘,咬耗,起床時の咀嚼筋疲労感,咬筋肥大等の臨床徴候を基に行われるが,これら診断基準の妥当性は未だ実証されていない.その原因としてSBの発症に関わる因子,表現型ともに多様であるが,それらが一括りにされてきたことが挙げられる.SB筋活動を運動論的に捉えると,少なくともclenching,grinding,両者の混合型があり,それぞれの多寡が異なる臨床徴候を規定する可能性が高い.以上よりSB臨床診断基準の妥当性を検証することを目的に,SBリスク因子や関連疾患のない被験者を対象として,睡眠ポリグラフ検査(PSG)を用いて測定したSB 筋活動をtonicとphasicとに分類し,各臨床徴候との関連性を検討した.その結果,臨床徴候によりSB群を分けると,睡眠同伴者の指摘については,指摘のある群で指摘のない群,Control群と比べ,歯ぎしり音を伴うepisode数が有意に多く,9歯以上咬耗を認めた群は,9歯未満の群,Control群と比べphasic burst持続時間が有意に長かった.一方,起床時の咀嚼筋疲労感については症状を訴える群で症状を訴えない群,Control群と比べtonic burst持続時間が有意に長く,症状のない群はControl群と同程度であった.以上のことから,睡眠同伴者の指摘はgrindingを反映すると考えられる歯ぎしり音を伴うphasicな活動を,咬耗はphasicな活動と,起床時の咀嚼筋疲労感は,clenchingを反映すると考えられるtonicな活動と関連づけられ,各診断基準が異なるSB episodeを反映することが示唆された.本研究結果は,SBの症型分類とそれに対応した診断基準を策定する上で有用な基盤データであると考えられる.
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