本研究の目的は、チタン製インプラントの表面改質技術によって得られた高い生体親和性および抗菌性を持った表面を最大限活用させるため迅速的なエキシマUVランプ照射効果の分子・ナノレベルでのメカニズムを明らかにし、インプラント体表面への新たな表面処理法としての可能性を探ることであった。今研究費獲得前までに申請者は、エキシマ領域UVランプの開発に取り掛かり、低圧水銀による多波長を有するUVランプとは違い、短波長で特定波長を有した小型UVランプ装置を作製に取り組んできた。①エキシマUVランプ照射によるチタン表面化学特性の解明ができた。ワイヤ放電加工による表面(EDSurface)は均質化されたアナターゼ型酸化チタン表面であり、実験モデルとして最適であり、今回の研究に対して優れた結果をもたらした。既に報告したエキシマUVランプの波長は限局されているので、波長の特異性によるチタン酸化膜表面への影響を評価することができた。現在一般的に流通している低圧水銀UVランプは波長が分散しているにもかかわらず、最も高いピークをランプの波長として考察したので、波長が限局された低圧水銀UVランプの試作機と比較して効果が明らかであった。②ワイヤ放電加工表面にエキシマUVランプおよび低圧水銀ランプを照射した試験片を用いて、水滴および血液を接触させたときの接触角を計測した。さらに,経時的にこれらのデータを比較検討することで,他機関において報告されているデータと比較検討し,試験片として問題を有していないかを確認できた。③新たな分析法(ナノインデンテーション法)で、ワイヤ放電加工表面での骨質が機械工表面における骨室よりも優位に高いことが明らかになった。以上を全体的に考察すると、チタン表面処理としてワイヤ放電加工とエキシマUVランプの組み合わせにより生態親和性の高いチタン表面を獲得することが可能であると思われた。
|