| 研究課題/領域番号 |
25463021
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| 研究機関 | 昭和大学 |
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研究代表者 |
井上 利志子 昭和大学, 歯学部, 研究補助員 (90398701)
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| 研究分担者 |
山本 雅人 昭和大学, 教養部, 准教授 (50277844)
齊藤 誠 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (60420915)
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| 研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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| キーワード | 歯質 / 象牙質 / 歯根 / 加齢 / マイクロＣＴ |
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| 研究実績の概要 |
口腔領域は摂食をはじめとして多くの重要な機能を担っており，歯の強度特性を検討することは歯科医療においても修復物設計の指針となると思われる．歯は歯冠部分と歯根部分からなり，歯根部での破折は歯冠部とは異なる様相を呈し，重篤な症状になり，抜歯になる可能性も高い．現在までに歯根破折の解明のため，歯冠部および歯根部における構造等の違いに着目し，研究を進めてきた．すなわち，歯冠部および歯根部における微小硬さおよび弾性率の違いの検討を行ったところ，微小硬さおよび弾性率において違いがみられ，微小硬さにおいて歯冠部分が歯根部分よりも硬く，弾性率も大きいことを確認することができた．
また，歯の加齢変化による現象はいろいろと見られるが，象牙質における加齢変化は顕著であり，特に歯根象牙質において根尖側から次第に透明化し，加齢的に広がる透明象牙質はよく知られている．しかしながら，透明象牙質の特性に関する情報は少ない．そこで前年度において確立した歯質の微小硬さ試験方法を応用して，微小硬さ試験を行い，強度について検討したところ，微小硬さおよび弾性率は健全象牙質とは異なっており，加齢が影響を与えていると考えられた．今年度は，透明象牙質の構造をより詳細に理解することを目的とし，非破壊にてマイクロＣＴによる歯の撮影を行った後，前年度までに確立したマイクロＣＴによる歯の内部構造変化の解析を行ったところ，透明象牙質は歯冠部のいかなる部分よりもミネラル量が高く，加齢による構造変化が確認された．また，透明象牙質内においてはミネラル量は不均一に増加しており，ミネラル量の分布状態が強度に関与する可能性が示唆された．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歯は歯冠部と歯根部からなり，歯が破折した際は歯根部の方が重篤な症状になることが多い上に，歯冠部と歯根部では象牙質の構造が同一なものでないため，このデータを歯根部に適用することには問題が多い．さらに，現在までに歯根象牙質の強度に関する情報は歯冠象牙質に比較すると少ない．また，象牙質における加齢変化は顕著であり，歯根象牙質において根尖側から次第に透明化し，加齢的に広がる透明象牙質の出現がある．今回，マイクロＣＴによる透明象牙質の内部構造の検討を行ったことは，加齢研究において意義のあることであり，今後の研究における歯質の加齢変化現象の追求において有用であると思われ，順調に進展していると考えている．
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| 今後の研究の推進方策 |
加齢による歯質の変化を歯の老化現象として捉え，さらなる加齢歯の収集を行うことを予定している．
次年度はさらなる象牙質の加齢変化に関する研究を予定している．すなわち，健全象牙質および透明象牙質において現在までに実施した硬さ試験以外の強度特性評価を行い，健全歯と比較した際の加齢による歯質内の強度分布変化を明らかにすることにより，歯の亀裂発生解明のための挙動解析を行う．また，今年度までに解明したミネラル分布と強度分布変化の関連性を追及する．さらに強度試験後の破断面のトポグラフィ―を観察および比較を行い，破壊原因の分析，破壊の起始点と亀裂の進展方向の同定ならびに破壊様式の違いを検討する．破断面の進行状況を同定し，破断面の立体構造解析を行う．また，加齢歯質の歯科治療使用時における薬剤の影響の検討も予定している．
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| 次年度使用額が生じた理由 |
前述したように，今年度は，加齢により発生する透明象牙質の分析および評価を行った．マイクロＣＴ技術による健常象牙質および透明象牙質のミネラル分布解析を可能にするために基準片が必要であり，基準片の開発を予定していた．作製した際に必要経費を最小限におさえることができたため，当初の予定していた予算額を次年度の消耗品購入等に変更することが可能となった．以上のことから，次年度使用額が生じた．
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| 次年度使用額の使用計画 |
象牙質の分析および評価を予定しており，さらなる詳細な構造解析を行うために分析装置に付加する部品の購入を予定している．また，試料切断のためのダイヤモンドブレードの購入を予定している．その他に，強度試験後の破断面の観察を行うための電子顕微鏡のための消耗品，歯質強度評価のための超微小硬さ測定用試験片作製のための消耗品の購入も予定している．
さらに，研究成果を学会に報告する経費として旅費，印刷代を，誌上発表するための経費として論文掲載料，英文校正料を使用予定である．
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