研究課題/領域番号 |
25463023
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
山下 秀一郎 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (80242212)
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研究分担者 |
堀田 宏己 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (50130133)
石田 瞭 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (00327933)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 摂食・嚥下 / 経鼻内視鏡 / StageIItransport / 咀嚼運動 / 顎口腔機能 |
研究概要 |
近年、摂食・嚥下運動の動態を表現するのにプロセスモデルが提唱されるようになってきた。このモデルでは、咀嚼の進行中であっても食物の一部は、StageIItransport により中咽頭へと運ばれ集積される現象が特徴的に述べられている。嚥下障害者においては誤嚥のリスクを最小限にとどめることが肝要であり、StageIItransport の発現に関する基礎的データの蓄積が待たれるところである。経鼻内視鏡システムの開発により、食塊の動態を安全にかつリアルタイムで観察できるようになったことを踏まえ、本研究では、経鼻内視鏡システムを用いて中咽頭に移送された食塊の動態を直接観察することにより、咀嚼の進行過程の中でStageIItransport の発現を制御する因子に関して検討を行うことを目的とした。 1.経鼻内視鏡システムを用いたStageIItransport 評価法の確立:本システムを被験者に応用するにあたり、まず内視鏡の操作に関する確実な手技を習得することを目指した。次いで、咀嚼の進行に伴い中咽頭に移送されてくる食塊の動態について観察を行い、StageIItransport の発現するに対する評価方法を検討した。本研究では、Hiiemae、 Palmer らのプロセスモデルを参考にした。StageIItransport の発現に影響を及ぼす被験条件として、食物形態を固形・液体・混合と変化させた場合、食物の味を変化させた場合、咀嚼様式をグラインディングタイプからチョッピングタイプに変化させた場合、さらに咀嚼リズムのスピードを変化させた場合などを検討している。 2.倫理委員会への申請:ヒトを対象とした実験系となるため、研究計画を東京歯科大学倫理委員会への申請を行い承認を得た(承認番号:#477)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究に必要な器材はほぼ揃えることができ、研究環境の整備についてはおおむね順調に進展していると言える。一方において、被験者の獲得が予定通り進んでおらず,数名に対して予備実験を行ったにすぎない状況である。以上より、”やや遅れている”の評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
1.実験計画の再修正・確立:25年度の実績を踏まえて、計画の修正を行い最終計画の確立を目指す。 2.被験者の獲得:引き続き被験者の獲得を行う予定である。 3.デ-タの収集:確立された実験計画に基づき、デ-タの収集を行う。その際に、被験者からの同意を得て実験を開始しても、内視鏡に対する迷走神経反射や体調不良等の問題で、実験の中止を余儀なくされるケースなどが予測されるため、常に複数人で実験に臨むと同時に、緊急時の対応マニュアルを作成し内容の把握を徹底することが要件であると考える。 4.デ-タの分析:得られたデータをもとに、咀嚼の進行の中でStageIItransport の発現するタイミングと発現頻度について明確にする予定である。さらに、咀嚼時に付加した様々な条件の中からStageIItransport の発現を制御する因子を明確にし、統計学的に分析を加える計画である。 4.研究成果の発表:各研究段階において成果が得られ次第、学会発表を随時行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
EMGシステムに関して、予算額では1,650,000円を計上していたが、納入時には割引が生じたため支払額が1,069,320円となった。このため、差額分が次年度使用額として生じた。 EMGシステムの電極等は、精密部品のため研究期間中に破損する可能性が考えられる。したがって、当初の研究計画では購入予定のリストにはあげていなかったが、研究を遂行する上で必要となる物品に対して次年度使用額を充当する予定である。
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