研究課題/領域番号 |
25463026
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
淺野 隆 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (60349975)
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研究分担者 |
川良 美佐雄 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (20147713)
飯田 崇 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (50453882)
小見山 道 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (60339223)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マウスガード / 咀嚼筋 / 筋活動 / 咬筋 / 側頭筋 / 顎二腹筋 |
研究実績の概要 |
マウスガード装着が体幹四肢の筋力発揮時に顎口腔系に及ぼす影響についての検討を行った。被験者は顎口腔系に異常を認めず、顎関節に既往および現病歴のない個性正常咬合を有し、体幹四肢の運動機能に異常を認めない健常男性とした。マウスガードは各被験者が練習および試合時に使用している厚さ2ミリのポリオレフィン系軟性シートを2層ラミネート加圧した厚さ4ミリのカスタムメイドマウスガードを使用した。体幹伸展・屈曲運動には、多用途筋機能訓練装置BIODEX SYSTEM3を使用した。被験咀嚼筋として左右両側側頭筋前部筋束、咬筋浅部、および顎二腹筋前腹を選択した。咀嚼筋筋活動量の測定にはマルチテレメータシステム(WEB-5000, 日本光電社)を使用して導出した。電極は直径5㎜の双極表面電極を用いた。導出された筋電図信号は波形分析ソフトPowerLabに取り込み、サンプリング周波数1kHzとしてパーソナルコンピュータに記録した。また、咬頭嵌合位における最大随意噛みしめ時の側頭筋、咬筋の筋活動量と下顎骨正中下縁に両手の拇指をあてがい、頭位が後屈しないように最大随意開口抵抗を試みた時の顎二腹筋の筋活動量を計測し、これを最大随意筋活動量とした。各運動時の各筋における左右両側の実効値の平均を算出した。マウスガード装着・非装着における伸展と屈曲運動間の各咀嚼筋の筋活動量について検討した。結果は、マウスガード装着時の体幹伸展・屈曲運動時における筋活動量は、全ての筋においてマウスガード非装着時と比較して有意に小さかった。以上よりスポーツパフォーマンスを発揮するために大切なのは、咀嚼筋を使って、その時の体勢や状況に最も適した位置に下顎を固定することと思われ、単に咬頭嵌合位で強く噛みしめているのではなく、マウスガードが下顎の固定に役立ち、咀嚼筋の疲労軽減に有益であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題に到達するまでの過程研究について、これまで報告されていない内容を論文発表ができたことについて満足している。また、論文発表中のデータは、研究課題に限らず、他研究の参考となるものと思われるため。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題を遂行する上で平成27年度はスポーツアスリートのデータ収集に努める。被験者については、国体およびオリンピック出場クラスを選択したい。そのために、競技監督およびトレーナーなどの担当と入念な計画と説得が必要となると思われる。説明の資料として、科研費研究課題で発表させていただいた、論文を使用する。また、マウスガード製作の過程である、印象採得にデジタルスキャナーを使用計画があり、3Dプリンターを用いた作業模型を製作し、精度実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度では、マウスガードの衝撃吸収能力向上のための基礎的実験を行った。平成27年度は、今回製作したカスタムメイドマウスガードをスポーツアスリートへ提供する予定である。その準備として、研究実験データ収集が、当初計画をしていた被験者の参加時期が遅れたため。また、カスタムメイドマウスガード製作に必要な費用、および更なる基礎的実験費用が必要となる。
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次年度使用額の使用計画 |
ウレタンゲルを挟んだカスタムメイドマウスガードのデザイン確立を目標とする。デザインの検討として、厚さ、外形を考慮し、競技種目別にスポーツアスリートが好むカスタムメイドマウスガードを製作する。また、マウスガード製作に必要な印象採得において、デジタル印象したデータより3Dプリンターにて作業模型を製作し、通常の方法とデジタル印象方法のカスタムメイドマウスガードの適合性を確認する。研究全体では計画した材料および物品量には変化がなく。実験の計測時期が若干遅れて使用する。
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