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2014 年度 実施状況報告書

接着耐久性の優れた象牙質-接着性レジンセメント-セラミックの接着システムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 25463030
研究機関日本大学

研究代表者

會田 雅啓  日本大学, 松戸歯学部, 教授 (40147715)

研究分担者 若見 昌信  日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (60297851)
西山 典宏  日本大学, 松戸歯学部, 教授 (90112953)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードセラミックプライマー / 接着耐久性 / 接着性レジンセメント
研究実績の概要

本研究は,申請者らがこれまでに構築した「新規セラミックプライマーを用いたセラミックレジンとの接着システム(基盤研究(C))」および「新規セルフエッチングプライマーを用いた象牙質に対するレジンの接着システム(基盤研究(C))」を基に,これらを用いてセラミックを象牙質に接着させる場合の接着レジンセメントの条件(厚さ,重合様式,光照射時間)およびセラミックの光透過性が接着耐久性に及ぼす影響を調べ,セラミック―接着性レジンセメント―象牙質の効果的な接着システムを構築することである。
申請者らは,HEMAおよびMDPを主成分とし,試作象牙質プライマーの作成を行った。市販リンクマックスの接着強さは,7.69~7.90Mpa,試作象牙質プライマーの接着力は6.89~7.25Mpaであり,ややリンクマックスの接着力より劣るが,ほぼ同程度の接着力を示した。そこで,次に,2液性の象牙質プライマーを試作することとした。HEMAおよびMDPを主成分とした溶液をA液,スルフィン酸ナトリウムを主成分とする溶液をB液とし,B液中のスルフィン酸ナトリウムの濃度が接着強さに及ぼす影響を検討するため,3%および5%のスルフィン酸ナトリウム溶液を調整した。A液とB 液を混和し,象牙質面を処理したところ,象牙質に対するリンクマックスの接着強さは3%の5.33~6.89 MPaから,5%では7.26~8.28 MPaへと向上し,リンクマックス付属プライマー処理象牙質に対する接着強さ,7.69~7.90Mpaに近似した。
つぎに、A液に対するB液の混合割合が接着強さに及ぼす影響を検討した。その結果、液:B液の割合1:0.67の時にリンクマックスと同等の接着強さを示した。B液の割合はこれより多くても少なくても接着強さは低下することが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

「研究実績の概要」に記載の通り, HEMAおよびMDPを主成分とし,スルフィン酸ナトリウム溶液と混和して使用する2液性プライマーの開発を行い,象牙質に対する接着強さの測定を行った。その際,HEMAおよびMDPの濃度を一定にし,それに対するスルフィン酸ナトリウム溶液の最適濃度と混和量について検討し,市販リンクマックスとほぼ同等の接着力を示した。しかし,現在は,HEMAおよびMDPの濃度を変化させると接着力にどう影響するのか検討しており,市販リンクマックスの接着力を上回る象牙質プライマーを開発することはできていない。さらに,今回は,セメントのみを接着させた実験で,ガラス板やセラミック板を接着させる実験は行っていない。そのため,今後,ガラス板およびセラミック板を使用した接着強さの測定を行う必要がある。
また,開発したプライマーにおいて,より接着強度を獲得するために,レジンセメントの物性を向上させる必要が生じた。

今後の研究の推進方策

開発した2液性象牙質プライマーにリンクマックスを接着させた場合の接着強さは7.26~8.28 MPaであり,これを上回る接着強さを有するためには,HEMAおよびMDPの添加量の検討,もしくはレジンセメントの物性を向上させる必要がある。また,臨床において,セラミックによる歯冠補綴を行った場合に,光重合では完全硬化に至らないものと想定しているため,今後,デュアルキュアもしくは化学重合型の象牙質プライマー,およびレジンセメントを開発する。
具体的には,Li Junの論文(Li J,Shibuya I,Teshima I,Nemoto K,Nishiyama N 2009 Development of dual-curing type experimental composite resin cement for orthodontic bonding-effect of amount of addition accelerators on the mechanical properties. Dental Material Journal 28: 401-408)を参考に,4-MET,p-トルエンスルフィン酸ナトリウム,トリルジエタノールアミンの3者を用いたデュアルキュア型接着性レジンセメントもしくは化学重合型レジンセメントを調整し,打開策を模索する。
その後,当初の予定通り,本研究課題である「接着耐久性の優れた象牙質―接着性レジンセメントの厚さが接着耐久性に及ぼす影響」を検討するため,試作プライマーおよび試作レジンセメントを使用し,接着性レジンセメントの厚さを100㎛または300㎛として,接着性ならびに接着耐久性の評価を行い,同時に,接着性レジンセメントの厚さを100㎛に規定し,セラミックの厚さを1㎜または2㎜とした場合の接着性および接着耐久性を評価し,本研究課題を遂行する。

次年度使用額が生じた理由

申請者らはこれまでに構築した「新規セラミックプライマーを用いたセラミックレジンとの接着システム(基盤研究(C))」および「新規セルフエッチングプライマーを用いた象牙質に対するレジンの接着システム(基盤研究(C))」を基にセラミックを象牙質に接着させる場合の接着レジンセメントの条件(厚さ,重合様式,光照射時間)およびセラミックの光透過性が接着耐久性に及ぼす影響を調べ,セラミック―接着性レジンセメント―象牙質の効果的な接着システムを構築することが目的であった。しかし,「新規セルフエッチングプライマーを用いた象牙質に対するレジンの接着システム」ではボンディング材の使用が不可欠であり,歯冠補綴物の装着には適合性を損なう恐れがあることから,ボンディング材を使用せず,プライマーのみにて接着させたが効果が低く,再度,セメント合着用のプライマーの開発が必要となり,使用額に変更が生じてしまった。

次年度使用額の使用計画

HEMAおよびMDPを主成分とし,スルフィン酸ナトリウム溶液と混和して使用する2液性プライマーの開発を行っており,市販のもの同程度までの接着性を得ている。今後,このプライマーの性能向上のためのには,HEMAおよびMDPの添加量の検討,もしくはレジンセメントの物性を向上させる必要がある。また,臨床において,セラミックによる歯冠補綴を行った場合に,光重合では完全硬化に至らないものと想定しているため,今後,デュアルキュアもしくは化学重合型の象牙質プライマー,およびレジンセメントを開発する。これらが順調に推移することによって,平成26年度の生じた次年度使用額および平成27年度の助成金とを適切に使用することが可能と考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Effects of degree of dissociation of acid used on hydrolytic durability of ceramic primer2014

    • 著者名/発表者名
      Naoko AOKI, Suguru KIMOTO, Hideki TANIMURA, Norihiro NISHIYAMA, Masahiro AIDA
    • 雑誌名

      Dental Materials Journal

      巻: 33 ページ: 614-620

    • DOI

      10.4012/dmj.2013-319

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2016-05-27  

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