無線LANを有する小型装置で記録した生体現象のデジタルデータを従来のアナログ処理装置の睡眠脳波解析装置で解析できるか否かを明らかにすることを目的とする. 臨床的な異常および側頭下顎障害の既往が認められず,自覚的,他覚的にbruxismの徴候・症状が認められる20歳代の成人bruxist5名の夜間睡眠中の生体現象(脳電図,眼球運動図,心電図,咬筋筋電図,オトガイ筋筋電図,呼吸電図)をデータレコーダ(TEAC社製XR5000)に記録した.次いで,データレコーダからの再生アナログ信号(信号A)を無線LANを有する小型装置(S&ME社製DL-3100)を用いて記録した.さらに,ポータブル記録装置からの再生デジタル信号を特注DA変換装置を介してアナログ信号(信号B)に変換した.信号Aと信号Bをそれぞれ睡眠脳波解析装置(日本光電社製 DEE-1100)を用いて,脳波的睡眠段階を30秒毎に判定,分類後,各睡眠段階の出現率,REM睡眠潜時,REM睡眠持続時間,平均睡眠周期時間,睡眠段階の移行の頻度を求め,信号Aと信号B間とで比較した. 各睡眠段階の出現率,REM睡眠潜時,REM睡眠持続時間,平均睡眠周期時間,睡眠段階の移行の頻度は,いずれも信号Aと信号Bとの間で一致し,両信号間に有意差が認められなかった. これらのことから,無線LANを有する小型装置DL-3100で記録した生体現象のデジタルデータは,DA変換することにより,アナログ信号処理の睡眠脳波解析装置DEE-1100で解析できることが明らかになった.
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