研究課題/領域番号 |
25463034
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研究機関 | 日本歯科大学東京短期大学 |
研究代表者 |
小池 麻里 日本歯科大学東京短期大学, その他部局等, 教授 (00234667)
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研究分担者 |
志賀 博 日本歯科大学, 歯学部, 教授 (50226114)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 歯科用金属アレルギー / 金属成分分析 / 歯科用合金 / 切削用ポイント |
研究実績の概要 |
平成26年度の研究実施計画では,口腔内金属修復物の成分分析の方法をまとめ,効果的と思われる分析方法の開発をすることであった.前年度の文献調査結果を基に,シリコンポイント,研磨紙およびホワイトポイントを用いることとした.金属は,一般的な歯科診療で使用される頻度の高い,金銀パラジウム合金とコバルト-クロム合金を選択した.切削についても,過去の文献調査を参考に,効率がよく,臨床の場においても使用できる条件とした.口腔内修復物から金属試料を採取し,金属成分の分析をエネルギー分散型分析装置(EDX)を使用して行った.金銀パラジウム合金は,採取,定性・定量分析は,比較的メーカーが開示している成分とその重量パーセントに近い数値を得ることができたが,コバルト-クロム合金は,すべての合金成分の検出と定量を行うことが難しかった.そこで,金属試料を採取後,EDXで定性・定量分析を行う際に.分析用試料の導電性を向上させるために前処理にオスミウム蒸着を試みた.その結果,分析感度が高くなることが確認できた. 以上の経過から,口腔内から採取した金属の成分分析の検出感度を高めるためには,金属の採取方法だけでなく,分析装置に適切な試料の前処理方法が確認できたため,今後の分析方法開発に大きな進歩になると思われる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
金銀パラジウム合金とコバルト-クロム合金を切削し,金属試料作製後,金属成分の分析をエネルギー分散型分析装置(EDX)を使用して行い,定性・定量することができた.しかし,合金の種類により,同じ切削条件で試料を採取し,同じ機器,エネルギー分散型分析装置(EDX)にて金属成分分析を行っても,含有金属の種類や組成により検出感度が異なることを確認された.また,その含有金属の種類や組成の影響をできるだけ小さくするために,金属試料に前処理(蒸着など)を行うことが,各合金成分の検出感度を高め,安定した分析結果を得られることを確認することができた.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度までに,金属の切削,金属試料作製,金属試料の前処理,エネルギー分散型分析装置(EDX)による金属成分の分析定性・定量するという一連のプロセスを確立することができた.しかし,今回までに行った合金の種類や切削条件などからの結果をもとに,すべての合金に適した方法であると考えるに至るには十分とは言えない.したがって,今年度は,金属,切削ポイントや切削条件などの組み合わせを施行しながら,臨床応用しやすい試料採取方法と検出感度を向上させる分析方法の開発を進めていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時,実施計画書に分析機器としていたEPMA(電子線マイクロアナライザー)が使用不可能となったため,原理は異なるが金属の成分分析を行えるエネルギー分散型分析装置を使用して分析を行っているため.物品の購入が遅れた.
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次年度使用額の使用計画 |
測定機器に適した試料作製と分析方法を開発が順調に進んでいることから,分析に必要な消耗品などに平成27年度(申請最終年度)内に予算執行する予定である.
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