研究課題/領域番号 |
25463035
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
飯田 良平 鶴見大学, 歯学部, 助教 (70339810)
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研究分担者 |
山根 明 鶴見大学, 歯学部, 教授 (20166763)
小川 匠 鶴見大学, 歯学部, 教授 (20267537)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 睡眠時無呼吸症 / アンタゴニスト / ラット / 咬筋 / 筋繊維直径 / NADH-TR染色 |
研究実績の概要 |
HX531と同様な機能を有するアンタゴニストであるクレンブテロールをラットに投与し,咬筋量に与える影響を調べた。雄性ウィスター系ラット8-9週齢に3,7,14,21日間30マイクログラム/mL のクレンブテロールを経口投与し,コントロール群には純水を投与した。投与終了後,すべてのラットはエーテル麻酔下で放血致死させ咬筋を摘出し,その重量を測定した。組織学的解析用の咬筋標本は4%パラホルムアルデヒドにて固定した。ラット右咬筋の中央部付近の凍結切片を作成した。NADH-TR染色により筋繊維タイプIIX/AとIIBを可視化し,筋繊維最小直径を測定した。ラット1匹あたり50本の筋繊維の最小直径を計測し,その平均値をその個体の代表値として用いた。1群に5匹のラットを用いた。統計学的解析には Tukey の方法および Mann-Whitney の方法を用いた。ラットの体重は両群で徐々に上昇したが実験期間を通して両群間に有意差は無かった。しかし投与開始3日目から21日目のクレンブテロール群の咬筋重量はコントロール群と比較して28-46%増加したが14日目から21日目の間では増加しなかった。14日目から21日目の間に筋繊維肥大の停止を確認するため,タイプIIX/AとIIBの筋繊維の最小直径を測定した。クレンブテロール群のタイプIIX/AとIIBの筋繊維の最小直径は両者とも14日目と21日目の間で統計学的有意差は無かった。以上の結果からクレンブテロール投与は14日目までラット咬筋の肥大を誘発するが,14日目以降は肥大を停止させることが示唆された。またクレンブテロールは口腔周囲筋の1つである咬筋の筋量の調節が可能であり,睡眠時無呼吸症の治療薬として使用できる可能性があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高脂肪食を与えたラットにクレンブテロールを投与した実験を行ったが,マイクロCTスキャナが故障し長期間使用できなかったために,マイクロCT撮影および三次元再構築による比較解析が遅れている。従って平成25年度の成果であるクレンブテロールの咬筋肥大促進が,既に肥満により肥大したラット個体にどのように作用するかのデータが充分に確保できていない。しかも咬筋重量や筋繊維の最小直径は,肥満個体においてはクレンブテロール群とコントロール群間で有意差は現在のところ認められず,三次元的解析により結果を明確化したいところである。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロCTスキャナの機能が十全でなかったために三次元的解析の結果の蓄積が不十分なのでマイクロCT撮影と三次元立体構築データ解析を第一として進めて行く。またマイクロCTに依存しない結果の比較解析を同時に進行させる。咬筋重量,筋繊維の最小直径の計測に加え,口腔内の空間の容積を直接計測する方法を開発する。グリセリンなど粘性の高い液体を口腔内に詰め,その体積を計測する方法等を検討中である。また咬筋筋重量の調節に関与していると考えられるマイオスタチン,インスリン様増殖因子の発現や,脱メチル化酵素群であるHDAC4, TET1,2,3 さらにいくつかのmicroRNA の発現解析も進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に,マイクロCT撮影装置の不具合が発生し,特に肥満個体における実験を控えたため次年度に使用する繰り越し金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
マイクロCT撮影のためのマウスの飼育および実験に使用する。また咬筋筋重量の調節に関与していると考えられるマイオスタチン,インスリン様増殖因子の発現や,脱メチル化酵素群であるHDAC4, TET1,2,3 さらにいくつかのmicroRNA の発現解析のための試薬に,さらに実験結果によってはマイクロアレイ解析に使用する。
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